アンダカシー調べてみた。→豚への愛にあふれていた。 「てみた。」20

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 「アンダカシー」を知っていますか。お菓子なの? ファッション用語?

 正解は豚の脂からラードを取った残りかすだ。沖縄では鳴き声以外は全て食べるというが、残りかすまで食べるとは…。一口食べると、じわっと豚のうま味が染み出る。

 やみつきになる珍味・アンダカシーについて調べてみた。
 




あんだかし専門店 龍華


沖縄の宝

 「ザッザッ、パキッ」。うるま市川崎の「あんだかし専門店龍華」。アンダカシーの香ばしい匂いに誘われ、猫たちが自然と集まる。サクサクとした食感や無添加にこだわった商品は、豚の脂特有の匂いが少なく県内外から多くのリピーターが出ている。


シンメーナービーで手際よく揚げられるアンダカシー。創業者の國場真千代さんの得意技だ。

 代表の國場真千代さん(57)は大のアンダカシー好き。市販の物では満足できず、精肉店に山積みになっていた豚の皮を見つけ「自分で作ることができないか」と自宅で作り始めるようになった。独自の製法を研究し続け、家族の力を借りて2013年「あんだかし専門店龍華」を始めた。

 一度に大量の豚の皮や身を鍋に入れ、均等な温度で熱するのは「至難の業」(真千代さん)だ。身を細かくするために、あみじゃくしで身を割りながら油で揚げる作業は一度始まると30分超続くこともある。真千代さんが鍋を握ると、調理場には張り詰めた空気が漂う。


揚げたてのアンダカシー。「パチパチ」と音をたてていた

できたてのアンダカシーを袋詰めしていく新垣麻衣子さん

 営業・販売などを担当する娘の麻梨江さん(33)は当初、アンダカシーが嫌いで嫌々家業を手伝っていたが、固定ファンが出てきて見る目が変わった。改めて、じっくり味わってみた。「あれ、おいしいと思った。今では大好物です」

 社内の誰よりも豚好きだ。「鳴き声以外全部食べられる。歴史も深いでしょ」と豚について語り出すと止められない。週2、3回は店舗に立ち、客の反応を見て、豚の歴史や商品のおいしさを力説する。「豚と聞けばどこへでも飛んで行く。存在自体が沖縄の宝」とまだまだ話は尽きなさそうだ。


こだわりのレシピでアンダカシーを作る龍華の國場真千代さん(中央)と(左から)麻梨江さん、新垣麻衣子さん

羽秀食品


意外とヘルシー

 


 なんだか懐かしいラードの香りに導かれて記者が訪れたのは、那覇市首里にある老舗の羽秀食品の工場だ。少し大きめに切り分けられたゴロッとした見た目に、かむと口の中に広がる豊かで深い味わい。「アンダガシーといえば羽秀さん」という常連客が多いというのも納得できる。


アンダカシーの材料である豚の背脂を持ってにっこり。羽秀食品二代目の羽地克樹さん

 「おみそ汁や野菜炒めに入れるのは定番だけど、カレーに入れて煮込むとコクが出ておいしいんだよ」と二代目の羽地克樹さん(45)。

 酒のおつまみや料理のうまみ成分としての活用だけではなく、昨今は那覇市にある「こくらクリニック」の渡辺信幸医師が提唱する美容や健康への効果が期待できるMEC食(Meet、Egg、Cheeseを主食とする)としても評判らしい。

 「以前は体にあまり良くないというイメージがあったかもしれないが、だんだん見直されてきているみたい。なんだかビックリ」と羽地さん自身も驚きを隠せない。

 体重を気にしながら夜な夜なお酒のつまみとして食べていた記者にも朗報だ。

 羽秀食品のアンダカシーはAコープや農連市場で買うことができる。





識者の話

  島袋正敏さん 津波高志さん


みそ汁に入れると絶品


 沖縄では昔から旧正月に豚1匹をウヮークルシー(屠畜(とちく))して、各部位を切り分けて調理したり、塩漬けで保存したりした。ハチカソーグヮチ(二十日正月)で正月を終えるが、豚の供養の意味でもあった。豚はごちそうで、正月の残りは年中行事の時にしか食べられなかった。

 胃や腸、肩の周りについている脂肪を水で煮ると、アンダカシーが鍋の上部に浮き上がり、染み出た透明な油は冷やすとラードになる。鍋からすくい上げる前に塩を振るので、うっすらと塩味が付く。高級なお茶請けやおやつとしてそのまま食べるも良し、料理に加えるも良し。野菜のたっぷり入ったみそ汁にアンダカシーを入れると絶品だ。

 1950年代までは、山原や南部辺り、離島などでは一般的に屠畜が行われていた。那覇のシシマチ(精肉市場)では、その頃、既に切り売りが中心だった。60年代になると屠畜して食べる地域は減っていき、山原にも豚を売りに来る人が来た。

(黙々100年塾 蔓草庵 主宰)


(2017年11月26日 琉球新報掲載)

 


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