食べちゃいけない毒ガニ3種! 脚1本で死ぬことも しかたにさんちの自然暮らし(37)

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 沖縄の冬場の海は、昼間より夜中の方が潮がよく引きます。年末年始の満月前後は、夜の潮干狩りを楽しみにしている人もいることでしょう。とはいえ、サンゴ礁の海で気になるのは危ない生き物たち。そこで今回は、夜の潮干狩りで、捕まえて食べてはいけない毒ガニをご紹介しましょう!


海の毒饅頭 スベスベマンジュウガニ

 毒ガニベスト3の中で、一番よく見かけるのがスベスベマンジュウガニ、通称スベマンです。岸近くのサンゴの岩の隙間などにも、よく隠れています。甲羅は、幅が4〜5センチほどの楕円形で、名前の通り表面はスベスベ。カーキ色から茶色の地色に、白い網目の模様があります。手の平に収まる大きさで、逃げ足も遅く、しばしば見つかるので、潮干狩りの良い獲物になりそう。でも、体内にはフグ毒に近い毒を持っていますから、煮ても焼いても食べられません!


夜に巣穴から出て餌を探すスベスベマンジュウガニ。

その昔、大学生がナイトダイビングで集めた獲物で闇鍋を作り、味見しようとしたら1匹入ってるのを見つけて、慌てて鍋ごと全部捨てた…なんて話も聞いたことがあります。もちろん、スープの味見もダメ! 毒の強さは、季節や体の部位によっても異なりますが、カニの脚1本で大人1人が死ぬほどの毒が含まれているようです

サンゴ礁の大きな毒ガニ ウモレオウギガニ

 サンゴ礁の一番沖、白波が立っている波当りの強い場所には、岩の隙間にウモレオウギガニが隠れています。甲羅の幅が10センチ以上にもなる大型で、荒波に流されないように脚の力が強く、岩にしっかりしがみついています。もちろんハサミの力も強力で、挟まれたら大変。色は、茶色い地色に、青白いインクを流したようなまだら模様。このカニも、スベマンと同じ毒「サキシトキシン」を持ちます。明治時代、奄美大島ではこのカニを知らずに鍋にして食べてしまい、吐き戻したものをニワトリやブタが食べて、家畜共々一家全滅したという痛ましい記録が残っています。


サンゴ礁の潮溜まりで見つけたウモレオウギガニ。青白い色が毒々しい?

まだ若くて小さなウモレオウギガニ。色が鮮やか。


ツブツブが特徴 ツブヒラアシオウギガニ

 これら2種類の他に、ツブヒラアシオウギガニもサンゴ礁の毒ガニとして有名ですが、なぜか私はほとんど見たことがありません。全体の形や色はスベマンによく似ていますが、甲羅やハサミの表面は、名前の通り小さなツブツブに覆われています。


潮が引いて干上がった夜のイノー。小さな潮溜まりには、それぞれ小さな生き物たちの暮らしがある。

 これらの有名な毒ガニに限らず、サンゴ礁に生える有毒な海藻や有毒なプランクトンを食べたカニ類が、餌の影響で毒化していた例も知られています。また、カニは死ぬと身の傷みが早いので、それによる食中毒の危険もあります。サンゴ礁で知らないカニを見つけたら、挟まれないようにやさしく触る程度なら大丈夫ですが、捕まえたり食べたりしないように、気をつけてくださいね


鹿谷法一(しかたに自然案内)

 しかたに・のりかず 琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島生まれ。海に憧れて沖縄に来て、もう30年以上。専門は甲殻類。生物の形と機能の関係に興味がある。趣味は本とパソコンとバイクいじり。植物を育てるのも好き。

 




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