沖縄の男性が語るセクハラの実態 〜あなたの近くにも〝残念な上司〟いませんか〜

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財務省の前事務次官のセクシュアルハラスメント(セクハラ)は、今も多くの議論を呼んでいる。県内でも沖縄労働局に寄せられたセクハラ相談件数は2016年度は108件で、17年度は82件だった。セクハラ問題について、県内で働く男性はどう思っているのか。20〜30代の男性(企業、公的機関、記者)にホンネで語り合ってもらった。さらに次回は、県内のメディア(報道機関)で働く女性による座談会もお届けします。


 



セクハラはダサい


 ― 今回のセクハラ報道をどう受け止めたか。

 (30代記者) さもありなん感はあった。恐らくああいう経験をしている人は多いだろうなとは思った。逆に言うと、第一報を聞いたとき、「触った」と思っていたけど、「言った」というものだった。

 ― 驚きはなかったと。

  外に出てきたことにびっくりした。おそらく泣き寝入りを今までずっとしてきただろうと、なんとなく思った。

 (30代公務員) ハラスメントについては研修で徹底されているから、身近にはない。相手が不快感を抱いた時点でセクハラとなる。ハラスメントは立場の強い人から弱い人に対して起きると思っている。今回は前事務次官が、情報を聞き出したい女性記者に対してだった。個人的には(前事務次官は)かっこわるいな、ダサいなと思った。

 (20代会社員) 多分、こういうのは別の業種でもあるのかなと思う。いろんなところで女性は被害を受けているのかな、と。うちでも研修があって「こういったのはセクハラだよ」というガイドラインが出ている。


触ったらアウト


 ― 前事務次官の「女性が接客をしているお店に行き、お店の女性と言葉遊びを楽しむようなことはある」という説明を疑問視する女性の声もあるが。

  いいとは思わないけど、たぶんお店の女性側は覚悟しているだろうと思う。それに対してセクハラとは思わないだろう。言葉だけだったら。それこそ触り始めたら完全アウトだけど。だからといって、言っていいかというと難しい質問。

  若いころ言ったかもしれない。

  そうそう、本音は「もしかしたら自分も言っていたかもしれない」というところはある。

  振り返ると。

  そこまでは言ってないけど、似たようなことは言っていたと思う。

 ― 絶対言っているでしょ。

 一同(笑)

  僕は飲まないので、飲まずにギリギリの線をいつも探るという。ただギリギリを踏み越えたことはあったかもしれない。

  きっとそのときは覚えていない。

  覚えてないんですね。

 ― 前事務次官みたいな。「記憶にない」

 一同(笑)

  下ネタが上手な人は上手なんですよ。なんていうかエロくない。上手に会話を盛り上げるための手法として使っている。良くないとは思うけど、ただそういうのはあると思う。

  逆に下手な先輩が多い。

 一同 (笑)

男性も被害に


 ― 周りで実際にセクハラを見たり聞いたりは。

  同期の女性から「飲みの場で(男の)先輩が腰に手を当ててきた」という話があった。同期女子に愚痴って注意喚起をしていた。「あの先輩に気をつけて」みたいな。お酒が入ると、女性と距離が近くなる人が社内にいないとは言い切れない。

  同期とか立場が同じ場合はすぐ周りに言いやすいけど、立場が下だと、下から上にと言うのはなかなかないんじゃないかな。

  取材先の飲み会に行くと、取材相手と女の子がチークダンスを踊らされていたこともあった。ちょっとテーマから外れるかもしれないけど、俺もセクハラ受けたことある。おしりをけっこうなでまわされた。

  異性から?

  同性から。男性同士だったからということもあるけど、「いやいや、そんなのよくないですよ」と、ぴしゃっと拒否しづらい。「冗談だ」と言われたらなんかあれだし。断りづらいというか。どの段階で断るかは難しい。

シラけないか不安も

 
― 女性がセクハラをされているのを見ても、どう対応したら分からないのが正直なところで。

  女性があからさまに嫌がっていたら入りやすい。「ちょっとまずいですよ」と言いやすい。でも、そこは第三者としては嫌がっているかどうか分かりづらく、非常に入りづらい。

  僕もパワハラを実際受けたことあったが、相談窓口がなかった。そこで僕の場合は終わった。今はハラスメントの相談窓口が設けられていて、僕のときにそういうのがあったら相談してたと思う。その場では言えないけど。一回持って帰って、相談する窓口に。

 ― 「どうしたらいいんですか」と。

  その場で救済することは本人のためにもならなくて、後日でも相談できる場所があれば、相談しやすい。その場で「やめろ」とか言うと場がしらけそう。

  僕たちの会社には、内部通報制度がある。ある部署でハラスメントがあった場合、それを見てた別の人が匿名で「こういうことがあった」と通報できる。

セクハラの定義は

  事前の対策と、実際起こってからの対策を分けたときに、事前の対策は研修制度とか充実させて、認識を深めていく。

  男性側としてはセクハラの定義がほしい。同じ言葉でも受け取る女性によってはセクハラと思う人もいれば、思わない人もいる。僕としては性的なところに踏み込むと、たとえば「生理か?」とかというのはセクハラになるし、女性の体形とか、明確に違うところからセクハラになる。

  定義は難しいね。でも、前事務次官のはだいたいアウト。

 一同 アウト(笑)

  ただ100人が100人「アウト」と言わないところはとても難しいと思う。下ネタとかが、性の延長線上という意識があまりないのかな。パーティージョークのつもりで言っちゃうみたいなところでズレが出てくるんだと思う。ただ「今日の洋服かわいいね」もダメなのかな…。

  だめというか、それもセクハラ発言と捉えられ得る。

  変な話、ほめた部分はある程度OKにしてほしい。「おっぱい大きいね」とか言うのはアウトと思うけど「洋服かわいいね」とか「髪切ったんだね」くらいはOKにしてくれないと、それが本当にだめになると

  会話が「天気がいいね」くらいになる。

  セクハラは相手が嫌悪感を感じた時点で成立する。人によるとは思うけど。やっぱり、容姿絡みのことは言わないに超したことはない。本当に「天気いいね」とか「涼しいね、気温が」とか本人と結びつかないものを。

 ― Bさんはその定義でしっくりくる?

  本音で言うとしっくり来ない。友だちを紹介したいなと思って「彼氏いる?」と最近言った。あれも今思うとセクハラになるのかな。学問としてのセクハラの定義みたいなところは難しい。

 ― やっぱり人間関係もある。どこまで言っていいとか、一人一人の線を引くのはなんとなくできる。でも、全体で線を引くのは難しい。

  男の一番難しいのは、残念なことに現実にある「男社会」。ある意味、同じところに勤めて、(年功序列で)段々偉くなるのが正社員。そうすると同期には通じた発言が、段々と周囲との関係性に角度がついてきてセクハラになる。そこをあまり気づかずに20代の自分のまましゃべっているような上司がたまに見受けられる。ハラスメント性に気づいていない。

女性社員はコンパニオン?

 ― セクハラが起きるメカニズムって何でしょうね。

  やっぱお酒の場だと思う。お酒が入ると変わる人がけっこういる。お酒の場で女性がセクハラを受ける機会も多いのかなと思う。普段はみんながセクハラしないように意識はしている。でも、飲むとちょっと理性が外れて、普段押さえ込んでいるものが外れるのかな。

 ― 表では従うけど実は「そんなことがセクハラか」と(納得できずに)思っているから、酒飲むとやっちゃう。

  立場が上の人から、下の人に対して、セクハラというのが起きやすいんだろうと思う。上になる人は常に自分を戒める気持ちでいないといけない。

  本人にセクハラの意識があるか、すごく疑問。たぶん本人は、むしろ善意で、それこそ場を盛り上げるために言っているつもりなのかな。善意だからこそたちが悪い。「みんなのために頑張っている」と思っていると難しい。嫌がる人がいることに気付かないと。

  接待のときは男でもつらいと思うことがある。さらにそこに不快な言葉を言われると、女性はもっと不快に思う。

  たまに飲み会とかで、お誘いした部署と違うところの女性職員とかが来たりする。「連れてきました」みたいな。いや、求めてないって。

 一同 (笑)

  向こうは「今日は花を添えて」と言うが、「いやいやいや」となる。ああいう文化ってなんだろう。

  気を遣ってと言うのもあると思う。そういう女性の役割みたいな。

  役割として、飲み会のコンパニオンじゃないけど、夜の接待をするのが女性の役割と思っていると、セクハラはばんばん起こるんだろうな。

 ― 社外の役員が集まる飲み会があったんだけど、若い女性社員が「(違う会社の役員の隣に)座って、お酒ついで」と言われていた。この間久しぶりにその人と会ったときにそのときの話になったら「最悪だった」と言ってた。
 自社の女性社員なら無料で使えるコンパニオンと思ってるのかな。


  会社によると思うが、残念なことにそう思っている人が少数でもいるとは思う。

 ― もし見たときなんか言えます?

  自分より立場が上だったら言えない。洋服脱がしたりとかだったら止めるけど。自分の中にも許容される範囲っていう幅は持ってしまっている。

「男社会」から外れる

 ― 今回、座談会提案したときに「どうして男のお前が?」っていう反応があって、ネガティブなものじゃないけど、男がセクハラ問題を話すのは変なのかなと思った。男としてこの問題と向き合う難しさって、現状の男社会のレールに乗れば笑い話で済ませられるが、乗らないという選択肢になる。そういう難しさがあるんじゃないか。

  男性同士のセクハラもあって、男も被害者にもなる。挨拶代わりに胸とか股間とか触る男性の同僚もいるんだけど、嫌な人は嫌だろうな。加害者にも被害者にもなるわけだから、むしろ男性が話し合わないと。女性の問題だけじゃないはず。#Me Tooの運動に男性がもっと名乗りをあげてもいい。やっぱり女性側だけの問題ではない。

  自分が加害者になり得るかもしれないから、自分の発言には注意することが大切かな。ある程度理性が正常に働く人だったら、セクハラにはなりえない。

  男性がセクハラを受けるケースもあると思う。男性も声をあげやすい環境になれば、お互いが意識し合って、セクハラは減るんじゃないか。
  頭の中で勝手に男は加害者、女は被害者とか描いちゃうと、そこから外れた人はすごい生きづらい。声を上げづらいと思う。男性が女性上司からすごいセクハラを受けても、言いづらいんじゃないかな。

女性管理職は男性的?

  ところで、社会的地位がある女性って男性的と言われることがある。「さばさばしている」、「男性より強い」とか。そこにも性差別の認識があって、男性基準になっていないか。

 ― 管理職や役員に女性が増えるとセクハラが減ると思う。上の立場に女性がいれば、女性も相談しやすい。目の前で後輩の女の子たちがセクハラに遭っても守ってくれそう。

  ただ逆に、上にいく人が男社会の洗礼を受けて、それにも負けずに上がっていたら「なんだ、それくらい耐えろ」と言う可能性もある。自分が耐えてきたから耐えろみたいな。そうなると二重苦になって、女性に逃げ道がない。「私はだめだ」になっちゃう。

働きやすくするには

  前事務次官のセクハラ報道後に「なぜ女性こういう仕事をさせてるんだ」という声が一部あった。でも、それだとその現場から女性を排除することになる。それは正しい姿なのか気になる。

 ― セクハラは個人の倫理観と、男性社会とか社会的な部分のどちらもやらないとなくならない。まあ、何をもってなくなったといえるかわからないが。

  セクハラもパワハラも、ハラスメントに対して認識が薄い気がする。相手が不愉快に感じたらハラスメントだと定義があるのに、たまに加害者が「なんであんなのがハラスメントになるのか」とか言う。

 ― 今回は男性と女性を今回分けてるけど、いつかは一緒にやりたい。

  火だるまになりそう。

 一同 (笑) 

【終。次回は女性座談会をお届けします】
私たち、セクハラに慣れ過ぎていたのかも ~沖縄マスコミ女性座談会~

どこからがセクハラ?チェックテストはこちら(人事院HPより)↓
http://www.jinji.go.jp/sekuhara/5sekuharamonndai.html



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