強く、優しく、たくましい 海の安全を守る人

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地方部記者が担当地域のイチオシを紹介する「J(地元)☆1グランプリ」。夏真っ盛りの8月。照りつける日差しの下、真っ黒に日焼けしている人も多いのではないでしょうか。海のレジャーが楽しい夏ですが、海の事故が増える季節でもあります。そこで今月のテーマは「海の安全を守る人」。海の事故を防ぎ、安全を守るため働く人たちの姿をのぞいてみませんか。

(次回は9月8日)


国頭村 オクマプライベートビーチ&リゾート ★ 比嘉勇介さん


子どもたちに海の楽しさを教えているライフガードの比嘉勇介さん=14日、国頭村のオクマプライベートビーチ&リゾート

育った海 楽しみ方知って



国頭村奥間のオクマプライベートビーチ&リゾートは観光客のほか、夏休みは地元の子どもたちでにぎわう。ライフガードを務める比嘉勇介さん(22)も幼いころからビーチに通った1人だ。今は自身が知った海の楽しさを、地元や観光客の子どもたちに教えている。

国頭村に生まれ育った。3歳のころから同ビーチで開かれていた子ども向け教室に参加し、海で遊んだ。高校時代にビーチで教室スタッフを始め、那覇市の沖縄大学に進学後も夏休みを中心に続けた。その中で「海が好きだった」との思いを強くしていった。学生時代にライフガードの資格を取り、今春卒業。今夏から、オクマビーチや隣接するプールを見守っている。

海と触れ合うきっかけとなった教室は「オクマわんぱく教室」として今も続いている。比嘉さんは講師を務め、子どもたちといかだに乗ってビーチ沖のイノーや小島などを巡っている。「自分たちの育った海の楽しみ方を知ってほしい」と子どもたちに向き合う。

比嘉さんは「オクマビーチで育った子どもたちと(ビーチで)一緒に仕事ができたらうれしい」と笑顔を見せた。 

(塚崎昇平)



北谷町 サンセットビーチ ★ 大城慎太郎さん


美浜の海を駆ける若きライフガードの大城慎太郎さん=14日、北谷町美浜のサンセットビーチ

最高の夕日 笑顔にやりがい



アスリートのように無駄のない、しなやかな筋肉のついた体に思わず視線が奪われてしまう。真っ黒に焼けた肌は海の守護神たる証しだ。「海を安全に楽しんでほしい」。北谷町美浜のサンセットビーチでライフガードとして活動する大城慎太郎さん(21)の視線の先には、今日も海を満喫する人たちの笑顔がある。

海好きが高じて「気が付いたらこの仕事に就いていた」という大城さん。身に付けておけばいつかは役に立つだろうと、専門学校では救急救命士学科に進んだ。卒業後は友人たちとともにライフガードの道を歩み、はや4年。「来場者に声を掛けて危険を回避させ、安全な海をつくることにやりがいを感じる」と語る。

サンセットビーチでは常時10人のライフガードが監視や人命救助に当たっている。大城さんによると、ここ15年は溺水事故は発生していないという。事故がないことに加え、サンセットビーチの魅力はその名の通り、夕暮れ時。「どこのビーチにも負けないぐらいきれいなサンセットをぜひ見に来てください」とにっこり。

この夏、北谷のきれいな夕日を眺めながら、鍛えられた肉体と人命救助の知識を併せ持つライフガードたちに会いに行くことも楽しみの一つに加えてみてはいかがでしょうか。

(新垣若菜)



豊見城市 豊崎美らSUNビーチ ★ 山田隆平さん


トレーニングする山田隆平さん=13日、豊見城市の豊崎美らSUNビーチ

鍛錬欠かさず 身近な存在に



「地元の海で働けるのが一番うれしい」。そう話すのは、豊見城市の豊崎美らSUNビーチでライフガードをしている山田隆平さん(27)。同市出身で、19歳の時に友人に誘われて監視員のアルバイトを始めた。「誰かの役に立つ仕事がしたい」と21歳の時に海を仕事場に選んだ。今では19歳から38歳までのライフガードをまとめるリーダーだ。

山田さんは美らSUNビーチの魅力に「夕日」を挙げる。海に沈む真っ赤な夕日を見にビーチを訪れる人も多いという。さらに那覇空港が近いこともあり、頭上を飛行機が飛ぶ姿も迫力満点だ。山田さんは「この海に遊びに来てくれた人の姿を見るのが好き。だからこそ来てくれた人が安全に楽しく過ごせるように常に気を張っている」と語る。

美らSUNビーチは近くに護岸がないことから、台風などの影響で少しでも波が高くなると遊泳に影響が及び、事故の危険性が増す。山田さん自身も、泳いでいた子どもが溺れて心肺停止になる事故などを目の当たりにしてきた。「事故は絶対起こらないということはない。でもそれを未然に防ぐことが僕らの仕事」と話し、日頃からスイミングや救命のトレーニングのほか、ランニングやウエートトレーニングも欠かさない。

「ライフガードを身近な存在に感じてもらいたい」と話す山田さん。「海で何か困ったことや知りたいことがあれば、気軽に声を掛けてほしい」と笑った。

(嶋岡すみれ)



石垣市 米原ビーチ ★ 花城康志さん


米原ビーチの安全を守るため日々力を注ぐジェリーフィッシュの花城康志さん(中央)、小倉英明さん(左)、田中麻美さん=5日、石垣島の米原ビーチ

事故防止へ情報発信



白い砂浜が1.2キロほど続き、海岸近くでサンゴ礁の周りを泳ぐ熱帯魚たちの姿などを楽しむことができる石垣島の米原ビーチ。人気は広まり、地元の人はもちろん観光客も多く訪れる同ビーチの安全を守る活動を行っているのが、同ビーチ近くのマリンショップ「Jelly Fish」(ジェリーフィッシュ)代表の花城康志さん(55)だ。

米原ビーチでは水量が増えると、岸に近いインリーフからアウトリーフに流れ出る離岸流が強くなる。またインリーフでは水深3メートルほどの地点があるなど注意するポイントもあるという。監視員なども配置されておらず、たびたび死亡事故も発生してきた。

そんな状況を改善しようと花城さんは、2014年ごろから海の状況を見て注意喚起の旗を立てるなどの活動を独自に始めた。現在は海況を踏まえた「米原海岸ハザードマップ情報」を毎日更新し、「遊泳不可」「遊泳可」などの目安も発信する。

「ここ数年は流されたり溺れたりする死亡事故は起きていない。少しは取り組みの効果が出ているのかな」と話す花城さん。取り組みを強化しようと、18年には一般社団法人を立ち上げた。

「(事故は)自己責任だとの声があるがそれは違う。まずは情報発信するのが大事だ。他のビーチのモデルケースになれれば」と力を込めた。

(大嶺雅俊)






地元愛が原動力
 

海水浴シーズン真っただ中、万が一の事故を未然に防ごうと気の抜けない日々が続いているのがライフガードの人々です。

心肺蘇生法をはじめ、人命救助の能力、海の危機管理能力に優れたライフガードは、クラゲなどの海の危険生物も熟知しており、応急措置法も体得しているそう。職業人であると同時に何より地元の海に精通し、こよなく愛しているのが原動力のようです。

今日も海を楽しむ子どもをはじめ、大勢の人々を陰に日なたに見守っています。海を満喫できるのも、こうした“海の守護神”がいてこそでしょう。

(学)


(2019年8月18日 琉球新報掲載)



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