「大坂選手はもともと調子の波が激しい選手ではありますが、最近の不調ぶりを見ていると明らかにスランプに陥っているでしょう。ウィンブルドンも開幕したばかりですが、弱点とされているメンタル面の不安定さから《電撃引退の懸念》といった報道も一部では出ています」(スポーツ紙記者)
テニスの“世界女王”大坂なおみ(21)が、窮地に立たされている。1月の全豪オープンで優勝し、アジア勢初となる世界ランキング1位の栄誉に輝いた大坂。しかし2月には突然、その立役者であるコーチのサーシャ・バ<>イン氏(34)の契約解除を発表。新コーチにジャーメイン・ジェンキンス氏(34)を招き、新体制での活動をスタートするも、格下の選手相手に黒星を連発。5月末の全仏オープンは3回戦、6月に開催されたイギリスの大会でも2回戦でそれぞれ敗れ、“世界ランク2位降格”という屈辱を味わっていた。
さらに、開催中のウィンブルドンでもまさかの初戦敗退。試合後の記者会見では「退席してもいい? もう泣きそう」と語り、4分半で切り上げる見たことのない姿を見せていた。大坂を襲う数々の“異変”。それはコートの外でも起こっていた。
「最近の大坂選手は少し様子がおかしいんです……。6月の大会では敗戦選手の義務である会見を突如ボイコットし、協会から罰金を命じられていました。さらに、試合中にもかかわらずコートに直接座り込み、うつろな目をした姿が目撃されていました。ジャーメインコーチが必死に指導していましたが、あまり頭に入っていない様子でした。また、全仏直前のインタビューでは『年間四大大会制覇? 素敵じゃない。その先には、東京五輪よ。全部、勝っちゃったりして。もうテニスを始めたときからの夢が近づいている』と、普段は謙虚な彼女らしからぬ発言をして、周囲を驚かせていました」(テニス協会関係者)
全仏敗戦後の会見で大坂は「すごく疲れているのを感じる」「重圧があったし、最高に幸せな時間ではなかった」と後ろ向きなコメントを連発。その姿は「もう休みたい……」と、まるで訴えているようだった。大坂が迎えた試練のとき。原因について、テニスジャーナリストの塚越亘さんはこう分析する。
「世界ランク1位になるというのはとても大変なことなんです。四大大会で優勝しても1位になれなかった選手や、世界1位になっても四大大会で優勝できなかった選手が過去にはたくさんいます。しかし、大坂選手は昨年3月のBNPパリバ・オープンの優勝から1年弱でその2つとも手にしてしまいました。普通の選手が何度も挫折や苦労を経験してたどり着くところを、あっという間に成し遂げたことでプレッシャーになっているのはないでしょうか」
さらに、冒頭の“電撃引退報道”についても不安を示す。
「大坂選手はこの1〜2年で、一躍スター選手の仲間入りをしました。テニス界では若い選手が急に強くなった後に、燃え尽き症候群になってやめてしまうことがあるんです……」
女王ならではの孤独と闘い続ける大坂。彼女の精神面の変調にはサーシャコーチとの決別が大きな影響を及ぼしていると、塚越さんは心配する。
「大坂選手は、世界ランク1位になった絶好調のタイミングでサーシャコーチと別れてしまいました。そのことで周囲からの雑音が大きくなり、テニスに集中できなくなってしまったのだと思います。サーシャさんは、大坂選手の純粋さなど長所を引き出しつつ、会話を通じて改善点を自然に気づかせるように導いていました。ジャーメインコーチもテニスに関する知識や経験も豊富で、真面目な素晴らしいコーチだと思います。しかし、サーシャさんのように優しい言葉をかけるのが得意ではない印象を受けます」
一部からは“サーシャ待望論”もささやかれているという。前出の塚越さんは語る。
「サーシャコーチはすでに新しい選手との契約を結んでいますし、2人の関係が復活するのはそう簡単なことではありません。しかし最近の試合結果を見れば、お互いよりを戻すことでまた上手くいくと考えている専門家は多いです」
立ちふさがる困難との闘いを続ける大坂。そんな彼女に希望の兆しも見えているという。
「ウィンブルドンが終われば大坂選手が得意とするハードコートのシーズンに入るので、自然と結果も出てくるでしょう。今は精神的に大変苦しい時期にいると思いますが、実力は間違いないので乗り越えて見事に復活を遂げてほしいですね」(塚越さん)
来年には東京オリンピックを控える大坂。逆境をはねのけ、再び栄冠に輝く日は近いだろう——。
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