浦添市のバークレーそばの県道241号線を運転していたら、壁にカラフルな大きな壁画が描いてあるビルを見ました。車なので止まれなかったのですが、何の建物だったか気になります。調べてもらえませんか?
(南城市 いまなんじぃさん)
読者からの情報を頼りに、現地を訪れた調査員。バークレーズコートから県道241号線を少し南に進むと…。右手にカラフルな壁画が描かれたビルを発見!
壁画はビルの東側、南側の2面にわたって描かれています。カラフルな原色があふれ、ウキウキした気分になってきます。幾何学的なパターンの中に、葉っぱや海、太陽を思わせる絵柄が見え隠れします。
近づいてみると、右下にサインが。「アルベルト 2018」と書かれています。アルベルトって、まさかあのミュージシャンの…!?
自ら提案し実現
「はい、この壁画を描いたのは、ディアマンテスのアルベルト城間さんです」
壁画が描かれたビルに入居している株式会社てだこの代表取締役社長、佐和田健二さんは話します。
株式会社てだこは、不動産屋さん。「弊社はビルの階段を上った2階にあるのですが、入り口が分かりにくいというお客さまからの声がありました。目立たせるために、何か絵を描こうと模索していたところ、お付き合いのあったアルベルトさんが『自分が描きましょう』と提案してくれたんです」
それにしても、アルベルトさんにこんなアートの才能もあったとは。あのー、できれば実際にアルベルトさんにお話を聞いてみたいのですが…。おそるおそる問いかけた調査員に、佐和田さんは「いいですよ、紹介しましょう」と快諾。やった~!
アートはいい影響与える
「僕が絵を描いているのは、インテリアデザインの仕事をしていた母の影響」とアルベルトさん。お母様は子どもたちを集めて絵を描いてもらうというワークショップをよく開いており、アルベルトさんも参加していたそう。「母のワークショップは、黒いクレヨンで自由に線を描き間に色を塗っていくというものでした。そのスタイルに今も影響を受けています」。確かに、この壁画も黒い線の間を原色で埋めていくというスタイルで描かれていますね。
高校卒業後に日本に来るまでの1年間、アルベルトさんはペルーの建築学校でデザインを勉強したことも。沖縄に移住後はプロのミュージシャンへの道を歩み、美術からは遠ざかっていましたが、10年ほど前から県内の美術展に毎年出品するように。あふれる色彩と豊かなデザイン性が評価され、入選を繰り返しています。
平面作品のほか、ギターやピアノなど、楽器に彩色した作品も。さらに壁画も手掛けるようになり、現在はこちらも含め本島内5カ所に壁画があるそうです。タブレット端末を持ち歩き、いい作品が描けそうな建物を見かけると、壁面に彩色するとどうなるか絵画アプリを使ってシミュレート。こんな壁画はどうですか、と自ら提案することもあるといいます。
株式会社てだこに描かれたのは、大きなサイズとしては最初に手掛けた壁画。足場を組んでもらい、マスキングテープを貼ったあと、壁面でも落ちにくい特殊なペンキを使って彩色しました。ディアマンテスサポートメンバーのエイキさんと2人で作業し、実質2週間ほどで仕上げたそう。すごいスピードですね。
「アートの制作は本当に楽しい!」と満面の笑みを浮かべるアルベルトさん。「色やアートは生活にいい影響を与えます。いろんな人に、明るい気持ちになってもらえたらうれしい」と語ります。ちなみに、この壁画は太陽をイメージしているそう。確かに、通りかかる人の心を明るく照らしてくれそうな、すてきな作品ですね。
調査員も、色彩あふれる壁画に元気をもらいました!
(2020年4月9日 週刊レキオ掲載)