野添 侑麻 
はいさい！３回目のワクチン接種よりも、『面白くなるクスリ』があればすぐに打ちたいと思っている三流“ドーピング”芸人です。
もしそんなクスリがあれば、お笑い芸人はみんな打つだろうね。でも副作用もあってさ。そのクスリを打つと「面白くなるけどテレビには出られなくなる」とか、「もうからない」とかさ。そうなると芸人たちは打つのかな？
先日、桜坂劇場で観た映画『テレビで会えない芸人』に出ていた松元ヒロさんは、鋭い社会風刺ネタが持ち味のスタンダップコメディアンでね。そのネタの内容から全くと言っていいほど「テレビでは会えない」。でもライブではガンガンお客さんを集めてギャンギャン笑わせてさ。誰にも忖度（そんたく）することのない表現をやり続け、あの故立川談志師匠に愛された芸人だわけさ。松元ヒロさんはテレビに出られなくて食えないどころか、もはや「テレビに出ないことで食えている」芸人さんだわけさ。僕の憧れのひとりでもあるけど、できればヒロさんみたいな芸人になれるワクチンを開発してほしいね。すぐ打つけどや。でも接種会場で言われたりしてね「あなたは元々テレビにほとんど出てないから打つ必要はありません」。
北京五輪ではロシアのフィギュアスケート選手のドーピング問題が話題になったさ。本人は全く知らず、周りの大人たちが１５歳の彼女にクスリを投与していたんじゃないかとか、いろいろ言われているけどさ。個人的には４年後のオリンピックでこの時のことをネタにした演技や表現で、この状況をひっくり返してほしいけどや。金メダルを取るのも大事だけど、全ての想いをぶつけて会場を沸かせてほしいさ。僕らお笑い芸人からすればある意味うらやましいよ「スベればスベるほど喝采を浴びる」わけだからさ。スベる意味が違う？
でもチョビひげでお馴染みの世界一有名な喜劇王も言ってたよ。「わずかな人間で決めた賞なんて、たいした名誉ではない。私の欲しいのは喝采だ。大衆が私の仕事を称賛してくれたならば、それで十分だ」ってね。まぁ、三流芸人の僕は喝采よりも金（カネ）が欲しいけどやぁ。
（小波津正光、お笑い芸人）
■ＲＯＣ女子選手 禁止薬物陽性か／フィギュア団体（2月11日付23面）
■共同通信世論調査／３回目接種「遅い」７３％／(2月21日付3面 )
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