本部町の役場近くに「ビデオレンタル ネッシー」というお店があります。セメント瓦の屋根でレトロな建物なんですよ。お店の様子はどんな感じ? どんな方が経営しているのでしょう? 調べてみてください。
(浦添市 小雨堂の2人)
「ビデオレンタルネッシー」!。店名を聞いただけで気になりますね。配信サービスでの映画やドラマ鑑賞が当たり前となってしまった現在、地域の小さなレンタルビデオ/DVD屋さんは珍しい存在になりつつあります。そんなお店に、調査員も一度お話を聞いてみたいと思っていました。
それでは早速、ネッシーを探しに行ってみましょう!
セメント瓦のビデオ屋さん
本部町の県道84号線沿い、町役場近くを車で走っていると…、見つけました。 セメント瓦の木造平屋、歴史を感じさせる看板。ビデオレンタルネッシーです!
お店に入ると出迎えてくれたのは2代目オーナーの石井裕紀さん。出身は佐賀県、大阪府で長年仕事をした後、2008年に本部に移住したそうです。移住してしばらくした頃、本部町営市場内にある知人のお店を手伝っていたところ、前オーナーから声をかけられました。「映画好きね?」「大好きですよ!」「じゃあビデオ屋やらんね?」
そんなラフなやりとりを繰り返して、石井さんがお店を継ぐことが決まったのだとか。
引き継いだお店が営業開始したのは2010年。なんと当時の店舗は、ほとんどの商品がビデオだったそう。2010年当時なら、DVDだけでなく、ブルーレイディスクのレンタルも一般化しています。ネッシー、以前はさらに個性的な営業形態だったようですね。本部町に隣接する名護市には、大手のレンタルDVD店がありますが、なかなかそこまで足を延ばせない、という町民の方々が利用しているそうです。
できる限り営業続けます
石井さんは、店を引き継いだ後に商品をDVDに入れ替え。子どもたちも来店するので成人映画は扱わない、というポリシーで経営を行ってきました。
お客さんは中高年が多め、とのことで、DVDプレーヤーの使い方を聞かれることもあるそうです。お客さんの家まで行って、機器を確認したこともあったとか。
小さなお店なので、お客さんとの会話を楽しんでいるという石井さん。「置いてる作品は全ておすすめ! 」と話しつつも、「B級映画を手に取ってる人には『それはやめたほうがいいよ(笑)』と正直に言うこともあります」と教えてくれました。相対売を大事にする、昔ながらの商店のような営業スタイルですね。
石井さんが10年以上続けてきたお店ですが、徐々にお客さんは減っていき、現在は「どうにか赤字にならない程度」だと言います。加えて、店周辺の道路整備が決まっており、いつまで営業できるか分からないそうです。
石井さん自身、配信サービスの便利さに町のレンタルビデオ店はかなわない、という認識を持っています。しかし、実店舗には思いも寄らない作品に出合える楽しさがあり、映画の作り手のこだわりは、スマホの小さい画面ではなく、大きな画面、良い音響で視聴することで伝わる、という信念を持ち続けています。お店を開けている限りは、映画のだいご味を伝えていきたいそうですよ。「お店は虫の息だけど、まだまだがんばっています」と語ってくれました。
ネッシーでDVDレンタルが利用できるのは本部町在住の方のみですが、町外の方もこの機会に、レトロなお店を訪れてみませんか? 配信サービスに親しんでいる世代にも、楽しくて新しい発見があるはず。
ビデオレンタル ネッシー
本部町渡久地72
TEL 0980-47-6365
営業時間=17時~23時
※レンタルは本部町在住の方のみです
(2023年4月20日 週刊レキオ掲載)