読谷村の「陶工房きじむなぁ」は、独創性にあふれた多彩な器を制作する陶芸家・冨着信治さんのギャラリーです。
2011年、うるま市から現在地に移転したのを機に、工房名を「きじむなぁ窯」から「陶工房きじむなぁ」に改称しました。染め付けや焼き締めなど、伝統的な技法を踏襲した作風が特徴で、ギャラリーには、日用食器や壺などを中心に、手業の美しさを堪能できる作品が並んでいます。
特に目を引くのが、幾何学的な花文様で器全体を覆い尽くした「彫花紋」の花器や茶器。赤土を使った器の表面に白化粧泥をかぶせて、花びらをひとつひとつ丁寧に彫り込むという非常に手の込んだ品で、寸分の狂いもなく彫られた精緻な文様に引き込まれます。
また、本体を形づくる陶土(胎土)と異なる色の土を埋め込んで模様を際立たせる象嵌(ぞうがん)の作品も見ものです。
冨着さんは、読谷村の「やちむんの里」で4年間修業した後、うるま市に「きじむなぁ窯」を築窯して31年。伝統的な技法を独自の視点でアレンジしながら、オリジナリティを追求してきたそうです。
ユニークな造形の花器をはじめ、鮮やかな群青色や優しいピンクの唐草文様の器、一点一点表情が異なるマーブル柄の皿、黒や赤のモダンな色づかいの器や優しいパステルカラーの器など、作品の多彩さから、冨着さんの柔軟な発想力と、努力のほどがうかがえます。ギャラリーに足を運んで、その魅力を体感してはいかがでしょう。
(週刊かふう掲載)
「陶工房 きじむなぁ」
住所/読谷村伊良皆477-1
電話/098-957-0333
営業/10:00~19:00
定休日/不定休
駐車場/あり