工芸士の技を体感 木彫・漆工芸ゆん(金武町・金武)


工芸士の技を体感 木彫・漆工芸ゆん(金武町・金武)
この記事を書いた人 佐藤 ひろこ

 木彫・漆工芸ゆんは、沖縄県工芸士に認定されている兼次幸子さんの工房兼ギャラリーです。

 ギャラリーには、重箱や菓子器、豆皿といった器物から、ブローチやペンダントヘッドなどの気軽に使える小物まで、多彩な作品が並んでいます。ハイビスカスや月桃などの身近な植物をモチーフにしたものや、縁起がよいとされる扇などの吉祥文様を彫り込んだ作品は、眺めているだけで心が豊かになりそうです。

 この道33年という兼次さん。沖縄県の無形文化財保持者に認定されている前田孝允氏に、1983年から師事して木彫と漆芸を学んだ後、独立。県内のカルチャースクール等で木彫教室の講師を務めながら、「暮らしに溶け込む木彫」をコンセプトに作品づくりに励んできました。

 「作品を作る際は、木に逆らわず、木に対峙した時の『ひらめき』を大切にしています。材料はクスノキ、イタジイ、タモ、ヒバ、フクギなど。木の性質に合わせて彫るものを決めますが、彫っているときは無心。木から“気”をいただいている感じです」と話す兼次さん。

 また、兼次さんは「琉球堆紅(ついこう)」で2003年に沖展賞を受賞。堆紅とは、木彫作品を生漆で下塗りし、さらに黒漆と朱漆を塗り重ねる技法で、受賞作品は牡丹を彫り込んだ手文庫(書類などを入れる小箱)。朱漆を何回も塗り重ねた重厚感のある作品です。

 このほか木目を生かした作品や漆の質感を味わえる作品など、さまざまな技法を駆使した工芸品の美しさを間近で体感できる、貴重なギャラリーです。

週刊かふう2016年7月8日付掲載)

「木彫・漆工芸 ゆん」
住所/金武町金武7906-1(ラフォーレゆん1F)
電話/090-1947-3643
営業日時/木・金・土 10:00~17:00
駐車場/あり