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宝物の2人 100cmの視界から―あまはいくまはい―(4)


宝物の2人 100cmの視界から―あまはいくまはい―(4)
この記事を書いた人 稲嶺 盛裕

 リスクの高い2回目の妊娠も順調に進み、妊娠31週で管理入院しました。私の両親が沖縄から来てくれ、息子の碧(当時1歳)の面倒を見てくれました。

 入院してゆっくり休めると思ったものの、息子に会えないのが寂しくて寂しくて。しかも碧は、私が入院する1週間前に保育園に入園したばかり。彼にとっては家も保育園も新しい環境で心配でした。でも息子の力を信じて、お互い頑張るしかありません。週2回、碧がお見舞いに来てくれ、週1回は私も自宅で過ごすことができました。

夏帆が退院し、初対面の兄妹=2015年8月

 入院から約1か月の35週、8月3日が帝王切開の日になりました。麻酔がなるべく赤ちゃんにいかないように、おなかの消毒や、尿の管を入れるのも、麻酔をかける前にやることに。今までの手術では、それらは麻酔の後にやっていたので、その痛みは初体験。そして麻酔がかかって、ほんの数分で赤ちゃんが誕生です。おなかも前回の半分の長さしか切らず、出血もそこまでなかったので、心配していたトラブルは何も起きませんでした。帝王切開一つをとっても、病院、医師が変わるとこんなにも方法が違うのかと驚きました。

 碧と全く同じ大きさ2160グラムで生まれた女の子。私の名前を一文字とった「夏帆(かほ)」と名付けました。早産にもかかわらず、呼吸器も付けず元気いっぱい。出生翌日から直接授乳も始まり、予想の半分の約2週間で退院できました。

 夫が産休を1週間取れたのもありがたく、帝王切開後で、ご飯を食べるのも、トイレに行くのもきつい私に病院で付き添ってくました。産後1週間で私は退院したのですが、なんとその直後に1週間、寝込んだ夫! オットット…。「休みたいのは私だよ!なぜこの大変なときに!?」と思いつつも、私は病院にいる夏帆に母乳を届け、家で碧の世話をしつつ、新生活が始まりました。

 2歳差育児は本当に大変で、寝られず、休めず、疲れはたまるばかり。夫は夜勤で夜は不在、夜9時以降はヘルパーもいないので、私1人で子ども2人を見る毎日。私も体調をよく崩し過酷でしたが、大変な渦中では何も考えられず、毎日を過ごすだけで精いっぱい。2年たった今振り返ると、あの時は相当きつかったです。今は碧が4歳、夏帆も2歳になって、2人で遊ぶようになり、だいぶ楽になりました。乗り切った2年間、乾杯!

 身長100センチ、骨の弱い私が、まさか子どもを2人も生むだなんて! 事実は小説よりも奇なり!? やって来た2人の宝物、本当にありがたいです。

伊是名夏子

 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2017年7月17日 琉球新報掲載)