アートに出合って見つめる未来〈づめレポ6〉


アートに出合って見つめる未来〈づめレポ6〉
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沖縄本島から南に400km、八重山諸島の玄関口・石垣島―。

大自然に囲まれたこの島で11月29日(水)~12月17日までの3週間

「文化庁メディア芸術祭石垣島展~ひかりきらめくイマジネーション~」が開催されます。

アートに包まれる島の様子を随時レポートします。

 

 石垣市民会館特設会場では、マンガ部門の過去大賞作品が勢ぞろい。自由に手にとって読むことができ、連日ベンチに腰掛けページを開く人の姿が多く見られます。本イベントをボランティアとして下支えしてくれている高校生60人も、スタッフとして活躍しながら多様なアートに出合ってさまざまな刺激を受けているようです。

 特にマンガの世界に夢中になっていたのが、こちらの高校生。

 航太郎くん、高校3年生。

 第20回大賞受賞作品である『BLUE GIANT』を、なんと約3時間にわたって読み続けていました!

 漫画『BLUE GIANT』は、あることがきっかけでジャズを好きになり、サックスプレイヤーを目指す情熱的な男子高校生の物語。聞くと、航太郎くんも一番好きな音楽のジャンルはジャズで、最近自分のサックスを手に入れたとのこと。主人公とまるで似たバックグラウンドをもつ彼からすると、『BLUE GIANT』の主人公に起こる出来事は、まるで自分のことのように感じるのでしょうね。
 

 さらに話を聞いてみると、彼は市民会館特設会場に設置してある島の木材を使ったベンチづくりのワークショップの参加者だということが判明!

 「どのベンチが、自分が作ったベンチかわかる?」と聞いてみると、「はい。これです。」と。

 なんと航太郎くん、自分が作ったベンチに3時間も座り続け、大好きなマンガを読み続けていたのです!

 これには、周りにいた来場者も驚き。

 「ただでさえ面白いマンガだけど、自分が作ったベンチに座りながら読むと、より面白さが増してマンガの世界に入り込めました。」と笑う航太郎くん。

 実はDJもしているという彼。卒業後は島を離れ、世界の音楽を見るために海外留学をするそうです。

 そして、もう一人、自分が作ったベンチに腰掛ける高校生を発見しました。高校2年生の仲本くん。
 

 彼はこの日、高校生ボランティアスタッフとして、来場者に作品の説明をしてくれました。

 モノづくりが好きという仲本くんは、学校からの案内でベンチ作りのワークショップを知り、参加したそうです。

 「難しいところもあったけど、一つの作品が出来上がるのがとても楽しかった」と話す仲本くん。今は高校でプログラミングや回路を中心に情報技術について学んでいるそうです。今回の展示作品にも、とても興味を持っていました。
 

 今回の文化庁メディア芸術祭では、子どもも大人も普段触れられないような作品を楽しんでいる姿を目にします。

 その中でも、自分の夢や今後の自分の道への選択を目前にした高校生は、普段見慣れない「メディア芸術」の世界と出合うことで、大きな刺激を受けているようです。
 


文化庁メディア芸術祭石垣島展
~ひかりきらめくイマジネーション~

開催期間:11/29(水)~12/17(日)

展示時間:13:00~19:00(土日祝10:00~)入場無料

展示会場:石垣市民会館特設会場(インフォメーションセンター)

まちなか会場:まちなか交流会館ゆんたく家、石垣港離島ターミナル、ホテルエメラルドアイル石垣島、伊原間会場

公式webサイト:http://mediaarts-ishigaki-jima.okinawa
 

ライタープロフィル

橋爪 千花(はしづめ・ちか)1991年石垣市川平生まれ。

立命館アジア太平洋大学卒業後、東京でアイドルのマネージメントや地域活性の仕事に携わり、2017年夏より地元石垣島へ拠点を移す。

好きな食べ物はカシューナッツ。嫌いな食べ物はピータン。