伝えることは難しい モバプリの知っ得![142]


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今週はコミュニケーションの難しさのお話をします。私は仕事柄、小中学生からメッセージアプリが発端となったトラブルの相談をよく受けます。その中でも特に多いのが「悪気はなかったんだけど、かけちがいでケンカになってしまった」という相談です。

スマホを使って友人とやりとりをする際、自分の考えや気持ちを正しく伝えることはすごく難しいです。直接会った時のやりとりは、声のトーンや表情、身振り手振りなどを駆使して自分の気持ちを表すことができますが、スマホでのやりとりでは文字だけを使って表現 しなければいけません。直接会って会話していても伝わらないこともあるので、やはり文字だけだと全ては伝わりずらいです。

 

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

例えば、「あの人、面白くない?」だと褒めているニュアンスですが、「あの人、面白くない」だと否定している言葉になりますね。最後の記号が抜けただけで意味が180度変わるのです。さらに「ながら」で文字入力を行う人も多いのではないでしょうか。「テレビを見ながら」「漫画を読みながら」といった具合に、片手間で入力し、返事のスピード重視で多少言葉に間違いや漏れがあると、言葉が抜け落ちて意味が変わり、間違った伝わり方をしてケンカに発展してしまう。こうした話をよく聞きます。絵文字やスタンプなどで感情を伝えることもできますが、相手が逆の意味で捉えてしまうと褒めたつもりなのに、煽ったと受け垂れることもしばしば…

このように文字だけでコミュニケーションを取るのは難しい上に、メッセージアプリだと「時間差」が発生することもあります。というのも、夜中に届いたメッセージを翌朝見たり、送り手が酔った勢いで送ったメッセージが、受け手側と温度差があって伝わらないなどです。行き違いを防ぐために、少しだけ時間をかけ、意味がきちんと伝わるか、勘違いされる文章になっていないか確認して送ることを改めて意識してみましょう。また、読書で自分の文章力、言葉の使い方を磨くこともおすすめです。

読書のススメ -モバプリの知っ得![131]
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-1334508.html

そして一番大事なことは、直接会った際のやりとりを大事にすることです。感情をちゃんと伝えるスキルは対面での会話から培われます。その時にお互い信頼関係が出来上がっていれば、多少の言葉のミスもカバーできるからです。コロナ禍でなかなか対面することが難しい時期ですが、だからこそ「直接の会話」という価値は高まっていると言えます。

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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