県内のコーヒー農家の有志が「コーヒーレスキュー隊」を結成したと聞きました。いったいどんな活動なのか調べてください!
(沖縄市 コーヒールンバさん)
質問者の手紙には、コーヒーレスキュー隊は「うるまコーヒーネットワーク」という団体が行っているとの情報が。コンタクトを取ってみたところ、「ちょうど初めての活動を行うので、よかったら見にきませんか?」との返事。ぜひ!
コーヒーの木をお助け
集合場所に指定されたのは、恩納村内のとあるペンション。あれっ、コーヒー農園でもカフェでもないんですね。
指定の集合場所で調査員を出迎えてくれたのは、うるま市内の自家焙煎珈琲店「Tettoh Coffee(テットウコーヒー)」の店主、石川智史さん。
「ご存じの通り、コーヒーは、コーヒーの木から収穫される実から作られます」と語り始める石川さん。聞けば…。
コーヒーの木は、主にコーヒーベルトと呼ばれる赤道をはさんだ北緯25度と南緯25度の間の熱帯~亜熱帯地方で栽培されており、北緯26~27度の沖縄本島はその北限にあたるそう。なるほど、沖縄はコーヒーの栽培に適した土地なのですね。
「はい。採算が取れる農作物としては確立されてはいないものの、沖縄珈琲生産組合も組織されており、21年9月現在で18人が加入しています。個人でコーヒーの木を植えている人も案外多いんですよ」
えっ、そうなんですか。そういえば、ホームセンターの園芸コーナーでコーヒーの木の苗が売られていたのを見たような…。
「順調に育てば、コーヒーの木は苗から3年ほどで実をつけます」
おおっ、実がなれば自分で育てたコーヒーが楽しめる!?
「いえ、ところがそう簡単ではないんです。コーヒーの実は、そのままではコーヒーの豆にはなりません。皮を脱穀して種子を取り出し、乾燥させる精製というプロセスが必要です。実を精製すると生豆になりますが、飲むには焙煎もしなければなりません」
うーん、ただ実を収穫するだけではダメなんですね…。
「私はうるま市内で自家焙煎珈琲店を経営していますが、コーヒーの実がなったものの、どうしたらいいか分からないという相談がよく寄せられるんです。それで、市内のコーヒー農家有志の皆さんと協力して、そういった相談にお応えできないかということで、コーヒーレスキュー隊の活動を開始しました」
なるほど、話が飲み込めてきました。このペンションの庭にコーヒーの木があって、レスキュー隊の皆さんがアドバイスに来たというわけですね。
具体的にアドバイス
今回のレスキュー隊は、伊波善弘さん、松田達雄さん、高橋武紀さんの3人。伊波さんは栽培歴約10年、松田さん、高橋さんは約5年といいます。
伊波さんは、畑の隅に1本だけ植えられていたコーヒーの木を500本以上に増やしたというツワモノ。コーヒーの葉を煎じて飲むリーフティーの生産も手掛けています。松田さん、高橋さんもコーヒーの栽培に意欲的にチャレンジしている農家です。
3人はペンションのオーナー・萩原由法さんが知人の農家から譲り受けたというコーヒーの木の状態を確認。「実はついているけど、まばらだね。枝がつきすぎているので、1本だけ残して幹を30~40センチぐらいの高さで切って、また育つのを待つといいよ」など、具体的にアドバイス。収穫後にどのような手順が必要なのかも説明しました。
「譲り受けたものの、どうしたらいいかまったく分からなかったのですが、先がちょっと見えました」と相談者の萩原さん。いつか少量でも自分で育てたコーヒーを飲めれば、と笑顔を見せてくれました。
「コーヒーレスキュー隊を通して、沖縄でも生産者の方たちがしっかり活動していることを知ってもらえれば」と力説する石川さん。
コーヒーレスキュー隊の皆さんも、目を輝かせながらコーヒー栽培にかける思いを語ってくれたのが印象的でした。今後の活動に期待です!
うるまコーヒーネットワーク
(2021年9月23日 週刊レキオ掲載)