オンライン授業の波は自動車学校にも! 学科試験の合格率もアップ!?【島ネタCHOSA班】


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昨年9月から、県内の自動車学校で初めてオンライン学科教習を開始した糸満自動車学校。いったいどんなシステムなのでしょう? 調査員が調べてきました!

 

コロナ禍をきっかけに、世の中ではオンライン化が進んでいますね。しかし、交通ルールをしっかり身に付けてもらう授業がオンラインで、本当に大丈夫なのでしょうか!?

合格率がアップ

糸満自動車学校 学科係長の稲福丈彦さん

というわけで、半信半疑で糸満自動車学校に足を運んだ調査員。出迎えてくれたのは、学科係長の稲福丈彦さんです。失礼を承知で前述の疑問をぶつけてみると…。

「私たちも、オンライン学科教習で仮免許学科試験の合格率が下がったらどうしようと心配していたのですが、実は逆に上がったんです」との答えが返ってきました。ええっ、そうなんですか!

「その理由には、退屈で面白くないと言われていた学科教習を、分かりやすく、おもしろく伝える『体験型バラエティー学習』を導入したことが挙げられます」

確かに、調査員が自動車学校に通っていたころは、VTR教材も古めかしい映像に、生真面目なナレーションが入るといった感じのものでしたが…。

「糸満自動車学校では、昨年1月から、本島内では初めて『DON!DON!ドライブ』という学科VTR教材を導入しました。オンライン学科教習でもこの教材を活用しています」

さまざまな分野の専門家が集い開発したというこの教材。VTRの一部を見せてもらいましたが、人形アニメのキャラクターが登場し、楽しい雰囲気で学科が学べるようになっています。合間でクイズなども入り、教習生が主体的に学習できるような工夫も。

この教材を使用しながら、稲福さんら糸満自動車学校の指導員が、その内容を補足する解説動画を制作。「動画撮影の際には、一人一人に語りかけるイメージで、はっきりと話すよう心がけています」。さらに豊富な図表を用い、分かりやすい言葉でしっかり解説。授業後はチャットで質問を受け付けているそうです。

糸満自動車学校が制作したオンライン学科教習のVTR。要点を分かりやすく伝えるため、クイズを盛り込んだり、学科教本をスキャンして取り込むなどさまざまな工夫をしています

24時間いつでも

オンライン学科教習は録画方式を採用しており、インカメラ付きのスマホ・パソコンがあり、ネット環境が利用できれば24時間いつでもどこでも受講が可能です。

録画方式なら居眠りしたり、席を外したりしても分からないのでは…、と思うかもしれませんが、その対策もバッチリ。授業の中では何度か応答が求められ、また授業中にはランダムで写真撮影が行われており、授業態度が悪ければ再受講となることもあるのだそうです。

教習生からもオンライン学科教習は好評で「家で空いている時間に受講することができるので、すごく良い」「退屈することなく楽しめた」「(稲福さんら)指導員の説明も要点をまとめてくれていて分かりやすい」「他の教習生を気にせず授業に集中できる」との意見が。コロナ禍での密を避けられ、感染対策にも貢献しているとのこと。ちなみにオンライン学科教習を希望しない場合には、対面の授業を受けることが可能です。

  *  *

糸満自動車学校は、これまでも県内で初めて真っ赤なスポーティータイプの教習車両を導入したり、遠隔地からの教習生のため県内では数少ない合宿教習を行ったり、県内初の二輪専用コースによる二輪技能教習を開始したり…と先端的な取り組みを実施してきました。オンライン学科教習の導入には、インフラの整備、動画撮影・編集技術の習得など乗り越えるハードルも多かったと言いますが、「導入してよかったですね」と稲福さんは満面の笑顔を浮かべます。

何はともあれ、教習生がしっかり交通ルールを身に付けて、沖縄がより交通マナーのよい島になれば…と願う調査員でした。


糸満自動車学校

 電話:098-992-2138

 

(2022年3月24日 週刊レキオ掲載)