沖縄から次世代リーダーを発掘・育成する人材育成プログラム「Ryukyufrogs(リュウキュウ・フロッグス)」。“想い”をカタチにしようと、新サービスの構築に挑み続けた8期生9人を応援しようと、国内外で活躍する起業家やベンチャーキャピタリストら8人のスペシャルゲストが12月11日の成果発表会「LEAP DAY」に駆け付けました。世の中に新しい価値を生み出し続ける8人の講演を全文書き起こしで順次紹介します。第2回はインド、東南アジア、日本、アメリカを主な対象とし投資活動を行うグローバルファンド BEENEXT パートナーの前田ヒロさんです。
(次回は12月20日公開予定)
世界を飛び回る
「世界から見える日本の未来に必要なもの」。ちょっとえらそうなタイトルだが、まず自己紹介からしたい。500 Startups-Japanの澤山陽平さんと同じような仕事をしていて、2、3人とかそれくらいの規模で、「これから何かをやりたい」と構想しているようなベンチャーだとか、サービスを作って世の中に出して間もない半年くらいの会社に対して、最初の1000万とか最初の1億とかを出資する仕事をしている。これまで投資してきた会社の中には、時価総額が数千億円、売り上げが数千億円という会社もあれば、まだまだこれからの会社もある。
僕の仕事は「旅人」みたいで、毎週違う国でお金をばらまくみたいなことをしている。
先週はインドに、その前の週はアメリカだったり、最近ではベトナムやインドネシア、日本と、毎週違う国に飛び回って、お金を渡すという仕事をしている。
インドがすごい
インドはその中でもすごい。特にすごいのは、めちゃくちゃ人が多い。人口は13億人で日本の10倍の人がいる。インフラも整い始めていて、インターネットの普及率もどんどん伸びている状態だ。
国内総生産GDPも伸びていて、1970年の世界のトップ10は、1位がアメリカ、2位が日本だが、2000年代から急激に中国が上がってきて、2016年ごろからインドがぐんと上がってきた。それだけ、中国とインドは急成長している。
さらに、会社の価値が上がっているネット起業もインドでも増えていて、時価総額1000億円を超えているインドの企業はほとんどがEコマース、モノの売買、決済サービスだったりする。Uberみたいなサービスもものすごく伸びている。
どれくらいのお金がインドに回っているか。これは四半期ごとのインドの数字だが、3カ月に1回、1500~2000億円くらいがベンチャーに投資されている。日本では、ベンチャーへの投資は年間2000億円くらい。つまり、インドでは3カ月で、日本の年間のベンチャー投資額を超えているということだ。
インドで感じることは、シリコンバレーにすごく近いということ。物理的でなくてコミュニティが近い。アメリカで働いてインドに戻って起業する人もいれば、アメリカにいるインド人がインドで投資する人もいる。
あと、言語。英語をしゃべれるインド人がものすごく多いので、情報の感度が高いし、アメリカで起きていること、最先端のことをインドではみんなが普通に知っている。インドはすごい。
インドネシア、ベトナム、そしてアメリカ
インドネシア、ベトナムも急成長している。インドネシアは人口2・4億人、ベトナムは日本よりちょっと少ない9000万人いて、さらに平均年齢が低い。ベトナムは30.1歳と若い。日本は確か平均年齢が45歳を超えている。すごく若い人たちがものすごく頑張っている。
アメリカの話もしたい。これはアメリカの時価総額トップ5の会社(The largest companies by market cap) だが、2001年の時点はほとんどテクノロジーでない会社。WALMARTだったり、銀行だったりで、唯一がマイクロソフトだった。
2016年、実はトップ5がすべてテクノロジー企業に置き換わっている。Apple、Alphabet、マイクロソフト、アマゾン、Facebookと、アメリカで最も価値のある企業は全部テクノロジー企業。テクノロジーのイノベーションもそうだが、テクノロジーの市場もどんどん、ものすごいスピードで大きくなっている。
これは(スライド)時価総額が1000億円を超えた会社を時系列で並べている。要するに、時価総額が1000億円を超える会社の数、ペースがどんどん速まっている。例えば、2011年ごろは3社ほどが1000億を超えていたが、16年になると20くらいいっているという状態。ものすごいペースで、新しいベンチャー企業が特にテクノロジーの分野で生まれている。ほとんどがアメリカだ。
そして、日本に必要なのは…
一方の日本はどうだろうか。
人口は下がっている。2009年がピークで下がり続けている。GDPも下がっている。でも下がっているものばっかりではない。上がっているのを見ると、日本に来ている外国人が増えている。インバウンドはものすごく増えている。スマホの市場も伸びている。ECの市場も伸びている。クラウドサービスの市場も伸びている。下がっているものだけでなく、今はテクノロジー分野が伸びている。
世界を飛び回って、いろんな国々を見てきて、では、日本に何が必要なのか。僕は「チャンスをつかむ力」だと思っている。日本にはいろいろなチャンスが眠っている。さっきも言ったように、下がっているものばかりじゃなくて、上がっているものもある。上がっているものの中から、機会をとらえて、何か新しい価値を見いだしたり、新しい事業にしたり、自分のものにしたりと、チャンスをつかむ力が必要だ。