今年の沖縄は選挙イヤーです。
特に9月は、2日の北谷町・今帰仁村の議会選挙を皮切りに、9月30日の沖縄県知事選まで37の選挙が予定されています。
沖縄県知事選は、8月に亡くなった翁長知事の後をどの人が継いでいくのか。
沖縄の今後に大きな影響を与えるだけに、全国的に注目が集まっています。
こうした選挙の盛り上がりと同時に、ネットなどでは特定の候補者・陣営を貶めたり、逆に特定の候補者・陣営を極端に持ち上げる不確かな情報、デマなども多く投下されていきます。
ネットの普及により、色々な情報にアクセスすることができるようになった一方、その見極めはどんどんと難しくなっていきます。
世界中で問題となっている「選挙操作」
2016年6月、イギリスで「EU離脱」の是非を問う国民投票が行われ、残留派が48% 、離脱派が52%という僅差で「離脱派」が上回り、2020年末までに離脱することが決まりました。
同じく2016年の10月、アメリカ大統領選挙では大方の予想を大きく裏切り、ドナルド・トランプ氏が当選しました。
世界の行方を大きく左右する2つの選挙が2016年に行われました。
その際に、選挙コンサルタント会社「ケンブリッジ・アナリティカ(現在は廃業)」がFacebookのデータを不正に取得・利用し、特定の候補に有利になるように広告を出したという疑惑が出ています
Amazonの購入履歴などから「この商品もおすすめです」と、自分が欲しいものを提案してくるように、Facebookから不正に取得したデータを使って、怒りっぽい人には怒りを煽る選挙広告を、不安を感じやすい人には恐怖を煽る選挙広告を出して、イギリスのEU離脱とアメリカ大統領選でのドナルド・トランプの勝利を演出したのではないか、と言うことです。
現在も、まだ「疑惑」に留まっていますが、技術的にはAIなどで数百万人の傾向をつかみ、心を操作するような操作ができてしまうと言う事です。
実際に過去に行われた沖縄の選挙でも、多数のデマがネット上で飛び交ったことがあります。
今年2月に行われた名護市長選の時には、「基地反対派が選挙に合わせて2000世帯移動してきた(そして選挙結果を操った) 」「パンダを誘致することで、毎年3億円の税金を使う(実際税金は使わない)」など多数でした。
デマで特定の陣営を陥れる行為は、以前から「匿名ビラ」「怪文書」の類として存在していました。しかしインターネットが主流の時代になると、拡散範囲が選挙区を超え、話が膨らみ、デマがネット上にずっと残ることになります。
地味な政策の部分は比較しても分かりにくくても、デマとして拡散される分かりやすい話は印象に残りやすく、投票行動に大きな影響をもたらすでしょう。
沖縄県知事選を控えた現在では、「デマとは言えない不確かな情報」や「正論っぽい詭弁」などがTwitterなどで展開されています。
どちらもフェイクニュース…とは言えないものの、沖縄の今後を左右する大事な選挙においてはノイズとなっており、邪魔でしかありません。
事実に即した、冷静な判断が投票の際には求められます。
平時から見続ける
選挙前になると、玉石混交の情報が飛び交い、冷静な判断が難しくなります。
例えデマや不確かな情報と気づいても、一度悪くなった心象をフラットに戻すことも容易ではありません。
こうした情報に流されないためには、選挙期間ではない平時の落ち着いた時期からニュースをチェックし続けることでしょう。
そうする事で、選挙期間中の候補者の発言や政策に関して自分なりの判断を下すことができます。
日頃運動していない人が、突然激しい運動を行うと怪我をするリスクが高くなります。
同じように普段ニュースを見ていない人が、選挙期間中の情報だけで適切な判断を下すことは難しいでしょう。
選挙は、私たちの代表を決めるとても大事なものです。
例え同じ候補者に投票することになったとしても、正しい情報を元に判断した1票と、デマや不確かな情報によって決めた1票では、その重みや意味合いが変わってきます。
私たちが判断して投じる1票が、地域、沖縄、日本、そして世界の未来を作って行きます。
そのためには、常日頃から情報を冷静に、そして「事実」を丁寧に判断する必要があります。
琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」9月2日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。
親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。
【プロフィル】
モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。