祖父母への愛に聴衆も涙 大海を見た若者6人がビジネスアイデア披露 LEAPDAY報告


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6人集合

「あ~不便だな、こんなものがあったら良いのに」と思うことって1度や2度じゃない。そんな日々の暮らしの中で感じた「あったらいいな~」を実際に実現しようと模索する10代、20代の若者達がいます。「Ryukyufrogs(リュウキュウフロッグス)」のメンバーです。

リュウキュウフロッグスは、「井の中の蛙」から脱却し、世界という大海で通用する人材を育成しようと10年前に始まった人材育成事業。10期生6人は、2018年の夏から約半年間、米国シリコンバレーへの研修をメインに「○○×テクノロジー」をテーマに学生視点をいかし社会課題解決につながる新ビジネス案の創出に取り組んできました。

12月9日(日)、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれた「LEAP DAY(リープデイ)」でそのビジネスアイデアを発表しました。その中のひとつ「まごころポスト」は、現在、試作機の制作費をクラウドファンディングで募っていますが、LEAPDAYでのプレゼンテーションが感動を呼び、わずか数日で目標額の60万円を達成。その後も支援が集まり、現在100万円を突破するなど高い注目を集めています。

10期生のLEAPDAYでのプレゼンの要旨とゲスト講師らからの助言を紹介します。

<食の安全×テクノロジー>
安心して食べることを楽しむために塩崎拓(八重山商工高1年)&城間健太郎(那覇国際高3年)

塩崎拓さん(左)、城間健太郎さん(右)

食品添加物は気になるけど、本を読んだりしてイチから勉強するのは大変。「子どもの頃太っていて、やせたかった僕は、食品添加物に関する記事を読んで怒りにも似た感情が湧いてきた」(城間)。僕たちが提案する新サービス「ibeth」は商品の写真を撮るだけで、使用されている添加物が分かるもの。OCR(光学文字認識)技術を使って原材料表示を読み取る仕組み。 ただ表示を読み取るだけでなく、次のような3つの機能も装備したい。

  1. 多言語化・・・中国、英語、フランス語、ベトナム語など様々な言語に対応
  2. カスタマイズ機能・・・個々人が気になる添加物を指定できる
  3. サジェスト(提案)機能・・・添加物が多く含まれている食品に代わる代替食品を提案する。

さらに2020年頃には、化粧品まで対象を広げ、食品添加物がチェックできるだけでなく、アレルギーや宗教上の摂取制限にも対応したい。 食品添加物全てが「悪」というわけではないけれど、こんなに多くの添加物が必要なのかは疑問。危険な添加物が少ない世界を作っていきたい。

ゲスト講師から 食品関係は味方を作ると同時に敵も生んでしまう/食べ物は個人の趣味・嗜好の部分も大きく、単純に(体に)良い・悪いだけで判断できない部分もある。サービスを広めるプロモーション戦略は/食の安全に関する情報はデマも多い。多角的な情報が必要/海外ですでに似たようなサービスがあるが、広まっていない。広まっていない理由を調べた方がいい/本当に毎日使うか?毎日全ての食品をチェックするか?毎日使ってもらう工夫、インセンティブが必要。「自分が本当に使うか」とシビアに考えることが大事/

<教育×テクノロジー>
夢を叶えるフリマアプリ仲座愛乃(開邦高校2年)& 城間海月(久松中2年)

仲座愛乃さん(左)、城間海月さん(右)

夢を叶えるために何が必要か。私たちが学生にアンケート調査をしたところ「自律的に勉強している」と回答した人は76%。しかし「何のために勉強するのか」が分かっていない人が多かった。「私自身もそうだった。成績>夢、つまり成績のために学んでいた。でも『自分のために学ぶんだ」というある先生の言葉でハッとした』(仲座)。

夢のために学ぼう。でもそこで考えた。夢のために何をどう学べば良いのかと。私たちのサービス「Jumpup(ジャンプアップ)」は参考書・問題集のフリマアプリ。

中古の参考書や問題集を売買することができる。ただ売買するだけでなく3つの機能を備えたい。

  1. 叶えたい夢や目標を登録すると、夢に合った勉強法が分かる
  2. 役立つ参考書が探せる
  3. 本を使っていた人からのアドバイスがもらえる

本のバーコードをスキャンするだけで売ることができる。いつでもどこでも好きなときに夢のために自分で学べる環境が作れる。

ゲスト講師から 本や参考書で叶えることができない夢はどうすれば良いか/社会課題解決につながる文献なども紹介される(検索できる)と良い/「夢(ゴール)=大学進学」に寄りすぎの印象。もう少しコースアウトしても良いのでは/Aさんが成功した勉強法がBさんでも同じように成功するとは限らない。個々人の性格をアセスメント(査定)するツールもあったら良い/(勉強法/課題解決法は)今、日本中の人が悩んでいる問題/

<家族×テクノロジー>
孫の愛から生まれたポスト上運天愛球(読谷高1年)&津覇誉一(明治大2年)

上運天愛球さん(左)、津覇誉一さん(右)

13712000。皆さんはこの数字、何を意味するか分かりますか。約1400万。65歳以上の人だけで暮らす高齢者世帯の数。「僕の祖父母もそう。昔のように祖父母の家に遊びに行けていません」(津覇)。孫の顔を見たいはずの祖父母になかなか会いに行けない。祖父母に写真を送るサービスを作りたいと考えた。「すでにあるでしょ、そんなサービス」と思った人。違います。僕らのサービスは、デジタル写真ではなく、紙に印刷した写真そのものを届けるサービス、名付けて「まごころポスト」。

僕の祖父母の家は、至る所に孫達の写真が貼られている。写真に日付やコメントも書かれている。それを見た時「紙ってなんか特別だなぁ」と感じた。だから紙で写真を届けたい。しかも即時に。まごころポストは印刷機能を備えたポスト。写真を印刷するだけではなく、次の3つの機能も備えたい

  1. 送り主の声でボイスメッセージを送れる
  2. 受け手がポストを開封するとセンサーが感知して「受け取りました」や「写真が届くのを心待ちにしています」などのメッセージが送り手に届く。
  3. (2)のメッセージ機能をきかっけに、しばらく写真を送っていなかったり電話していなかった相手に連絡をとるなど、コミュニケーションのきかっけになる。

ゲスト講師らから (プレゼンに涙を流しながら)感動した。出資させてほしい/私は実際、父に定期的に写真をプリントアウトして送っている。ポストに写真が落ちる音を想像したら感動した/心から相手のことを思って考えているアイデア。自分と隣、その隣の人と考えることが「社会課題」の解決につながる/(プレゼン本番に向け)実際にプロダクト(試作品)を作ったことが素晴らしい/

「まごころポスト」は現在、テストマーケティングに向けての試作機開発費用をクラウドファンディング「キャンプファイヤー」で募っている。キャンプファイヤーのURL→https://camp-fire.jp/projects/view/113026