琉球新報Style初となる、学生ライターによる連載が始まります。その名も「ロックダウン世代になった就活生のリアル」。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、インターンや採用試験もオンラインへ移行するなど、就職活動も今までと大きく様変わりしています。そんな新しい日々を手探りで進む学生の皆さんのリアルな感情や、葛藤などを体験記として記していきます。
こんにちは。学生ライターの平良真美です!4月から4年生になり、ついに大学生活も残り1年間となってしまいました。私の場合、3年生の頃から新型コロナウイルスの影響を受けているので、大学生後半は自分でも予想外のものになってしまいました(泣)。今回は、そんな私が就活を始めて感じたことや考えていたことについてお話します。どこかの大学生に共感してもらえたら嬉しいです!!
合同説明会で感じた違和感
2021年を迎え、今年は新型コロナウイルスも落ち着いて元の日常に戻れるだろうと考えていた2月初旬。楽しみにしていたテレビ局のインターンの中止メールが届きました。元々このインターンを通して実際に働くイメージができると期待していたので、この時はとても落ち込みました。しかし、ここで何もしないわけにはいかないと、3月にマイナビ合同説明会に参加しました。ところが、そこで大きな衝撃と独特の雰囲気に圧倒されたのです。
「みんな、個性がまったくない!」
会場に入って目にしたものは、みんな同じスーツに同じメイク、同じ髪色でまとめた髪型…。何だか大量のコピーのようで、重たいものに圧迫される感覚を覚えました。次第にヒールを履いていた足も痛み出したのですが、会場にはシューズを履いている人なんていない…。後で履き替えようと持ってきていたシューズを抱えながら、私は会場を後にしました。
その帰り道、「みんな同じでなければいけないの?」と合説の光景を思い出していました。就活の身だしなみについては理解していたつもりでしたが、まさか自分でもこんな感覚に陥ってしまうとは思っておらず、何だか就活がとても怖くなってしまったのです。
この国の「当たり前」は、どこかの国では「おかしい」
合説から数日後、私はあの時感じた違和感をまだ誰にも話せずにいました。なぜなら、同級生は他の合説にも参加し、着々と就活をこなしていたからです。「みんながやっていることに違和感を感じてしまうなんて、自分は社会になじめない人間なんじゃないのか?」このようなネガティブな思考に囚われてしまい、周りに相談できないままモヤモヤとした日々を過ごしていました。
そんなある日、テレビで日本とアメリカの就活の違いを知りました。日本は「会社に就く」けれど、アメリカは「仕事に就く」と言われるそうで、就活についての考え方が大きく違うようなのです。そこで、「海外の就活ってどんな感じなんだろう」と興味を持った私は、大学の留学生に話を聞いてみることにしました。
話を聞いたのは、中国・北京から来た女の子のチャンチャン。チャンチャンによると中国では、就活をする上で「経験」が一番大事なのだと教えてくれました。そのため、中国でも大学3年生からインターンシップに参加しますが、日本と違うところは中国では大学院に進学する大学生がとても多いこと。日本だと大学院まで進学する人は比較的マイノリティーで、また女性なら尚更(なおさら)。そこまで学びを進める人は少ないのが実態です。私自身、将来結婚して出産・育児をするとなると、年齢や体力的なことを考えて早く社会に出たほうがいいんじゃないかと考えてしまいます。将来の人生プランを考える時、男性よりも女性のほうが、「年齢」という壁が常に頭をよぎると思うのです。
そこでチャンチャンに「大学院まで進んだら年齢が気にならない?」と聞くと、「年齢は関係ないし、日本人は年齢を気にしすぎ」と言われてしまいました(笑)。中国では、結婚は年齢ではなく生活基盤があるかどうかが重要なんだそうです。何だかチャンチャンがあまりにもハッキリと言うので、1つの考え方に縛られていた時間がもったいなく感じました。外からの視点を持って日本の就活を見ることで、日本社会について考えたり、自分が思っていたよりもさまざまな選択肢があったりすることに気づけたのです。
好きな事を仕事にする大学生に聞いてみた
もっと他の大学生の話を聞かなきゃと思った私は、まずSNSのインスタグラムのストーリーズ機能※1 を活用することにしました。「就活を選ばずに、他の活動をしている大学生を教えて!」と上げれば、さっそく友達から他学科の生徒を紹介してもらい、夕方には本人にDMで連絡することができました。本来なら出会えないはずの人に会えて、SNSがある時代で本当に良かったと思います!
今回インスタを通じて連絡したのは、大学4年生の田仲吟次さん。大学1年生の頃からお店を経営しているとのことなので、話を聞かせてもらうことにしました。吟次さんはSouth Kitchenというキッチンカーを経営したり、自分でデザインしたTシャツや帽子を販売したりしています。これまで経営の失敗と勉強を繰り返しながら、ビジネスを続けてきたそうです。
この時まで私は、「何かを経営する」という発想がなかったので、吟次さんのように大学生でありながら社会人のような活動をしている学生がいることに衝撃を受けました。しかし、一番気になったのは、みんなとは違う挑戦することについて。「周りと違うことをやっていて不安や焦りを感じない?」と聞くと、「好きだからやっているし、お金よりもお客さんを幸せにしたい」とのこと。しっかりと自分の考えを話すその姿に、全力で好きな事に向き合っているんだなと感じました。
きっと自分の好きな事をするにしても、スーツを着て就活をするにしても、大変であることには変わりない。どちらにしても大切なことは、「自分はどう生きたいのか」という軸や価値観が明確であること。吟次さんの話を聞いて、その軸がはっきりしているからこその選択なのだと思いました。周りと違ってもやりたい事に向き合う彼の姿を見ていると、ずっと抱えていたモヤモヤが少し晴れたような気がしました。
悩んでいる大学生へ まずはいろんな人の話を聞いてみて
就活が始まって、何となくずっとモヤモヤしていたこの数カ月間。あの合説以来、この気持ちを周りの仲間たちには言えずにいました。しかし今回、SNSを使って情報を集めたりするなかで他の就活生も、私と同じように就活について疑問を感じているのだと知りました。初めは否定されるかもしれないと思っていたのですが、私の話に共感してくれたことでモヤモヤも軽くなったのです。
また、中国からの留学生や好きな事で活動している同級生と話してみて、「もっと選択肢があること」「自分が思っているよりも自由だということ」に気づきました。もし、私のように就活で悩んでいる大学生がいれば、まずは他の人の話を聞いてみてほしい。友達でもいいし、大学の先生でもいいし、バイト先の先輩でもいい。違う価値観を持った人の経験や考え方に触れてみてください。きっと就活で悩んでいる今こそ、こういった事が必要だと思います!
※1…通常のフィード投稿とは別に、より日常的な写真や動画の投稿、配信がおこなえる機能。ストーリーは投稿後24時間以内削除されるのが特徴。
プロフィール
平良真美。沖縄国際大学英米言語文化学科3年。海外旅行大好き人間(とくにアジア)。就活を始めたばかりの超ド新規。今は将来について、色々なことを通して日々模索中!コロナ禍で奮闘する学生に、共感してもらえたら嬉しいです!