「最初はそれとは思わなかった。愛されているのだと思った」。配偶者や恋人からの暴力「DV(ドメスティックバイオレンス)」は、被害者自身、最初は気付かないことが多い。以前取材した女性もそうだった
▼相手のメールなどをチェックし交友関係を管理する、自分の価値観を押し付け相手に従わせる、自分の優位性を強調し相手を無能呼ばわりする…。そこに対等な関係はない
▼DVの本質は「力と支配」。相手を支配し続けるために力を使って繰り返し行う「虐待行為」であり「最悪の形の依存」と定義する人もいる
▼作家の高橋源一郎さんは著書で「わたしにはこの国の政治が(省略)いわゆるDVの加害者に酷似しつつあるように思える。彼らはパートナーを『力』で支配し、経済的な自立を邪魔し、それにもかかわらず自ら『愛する』よう命令するのである」と記す。特定秘密保護法に関してのエッセーだ
▼16日の違法確認訴訟の判決や、米軍北部訓練場のヘリパッド建設問題を考えると、いずれも国家によるDVだと改めて思う。話し合う気があるかのような優しさを見せつつ、権力で基地を押し付け、安全保障の面で沖縄への依存を強める
▼DVも基地問題も「人権が守られていない」という点で共通する。パートナー同士、国と地方も互いに「対等」な関係を築くことから始める必要がある。