<金口木舌>北部医療の「守護神」


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 「有給使いたくない」「夜の方がすいている」と夜、病院に押し掛ける人々。黄色いユニホームの「守護神」が立ちふさがり「まずは掛かり付け医に」と退ける

▼名護市民会館の屋外モニターで繰り返し流されていたPR動画だ。医師不足が長年の課題の北部地域。本当に救急医療が必要な患者を救うことや医師の負担を減らすことを訴えようと、北部広域市町村圏事務組合が制作した
▼夜間救急の適正利用も含め地域医療を考える事務組合主催の勉強会に足を運んだ。昨年6月、新潟県内の二つの病院を統合再編し設立した魚沼基幹病院の内山聖院長は統合で効率化が図られたことを報告した
▼会場からは北部地域にある県立北部病院と北部地区医師会病院について、医師不足の解消や高度医療の観点から統合を求める声が上がった。賛同の拍手が起こるなど統合への期待の高さもうかがえた
▼ただ、基幹病院ができても不適切な夜間救急の利用を改善しないと医師不足は解消されない。魚沼基幹病院でも救急医療の利用の仕方など勉強会を頻繁に開くことで、不必要な救急車の出動などが減ったという。会場からは「統合を急いで」との意見もあった
▼だが県や病院側の取り組みとともに、あるべき病院の姿を描くなど地域医療への理解を深めることが利用者側にも求められる。「守護神」に追い返されないことから始めよう。