<金口木舌>異議を唱える米企業


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 お父さんが犬。桃太郎と金太郎、浦島太郎は仲間同士。アニメ「ハイジ」のおじいさんが、ラップを歌う-。いずれもテレビCMでの設定だ。数十秒間でインパクトを与え、商品を最大限にアピールする

▼そんなCMを見慣れた目には、米国最大のスポーツイベント「スーパーボウル」のテレビ中継で流れたCMは、社会的メッセージが色濃い異色の“作品”に映った。移民をテーマに多様性と寛容を訴える内容に、トランプ支持者からは反発の声も上がった
▼難民や「テロ懸念国」として7カ国からの入国を制限するトランプ政権。世界最大の権力を握る米大統領に、グーグルやアップルといった米大手企業は臆することなく異議を唱える
▼連邦地方裁判所も「入国制限」の大統領令の一時停止を命じる仮処分の決定を出した。多様な価値観、人種、文化を受け入れ発展してきた米国ならではの適切な判断と言える
▼日本では、IT大手「楽天」の三木谷浩史社長がツイッターで「反トランプ」を打ち出しているものの、ソフトバンクグループの孫正義社長は大統領令への言及を避けた。政治的計算を優先させる安倍晋三首相も、だんまりを決め込む
▼お上に異議申し立てをするのが苦手な日本人。その中で、県民は基地問題で国に「ノー」を言い続けている。「おかしいことはおかしい」。その声に応える国であってほしい。