<金口木舌>「反日テロリスト」と呼ばれて


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 名指しで「お前はテロリストだ」と言われた心の痛みはよく分かる。昨年3月、東京支社に赴任する際、入居を申し込んだ物件の大家から「琉球新報」を理由に断られたとコラムに書いた。するとネット上で「反日テロリストにアジトを貸さなかった大家の英断だ」などと中傷された

▼反差別団体のりこえねっと共同代表の辛淑玉(シンスゴ)さんも東京MXの番組「ニュース女子」で「テロリストの黒幕」と名指しされた。放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は審議入りを決めた
▼だが辛さんは疑問を呈す。「手続きの間、デマは拡散し、被害を受け続けている。BPOは被害者を救済するルールや仕組みに欠ける」。BPOの放送人権委員会が東京MXとの協議を促したことにもいら立ちを隠さない
▼「平和」や「反差別」を叫べば、ネットや公共の電波で名指しで攻撃される。それは明らかに理不尽だ。救済や防止の仕組みは、この国の根幹に関わる
▼深刻なヘイト社会とBPOの役割をいま一度、考えたい。沖縄への攻撃は誹謗(ひぼう)中傷にとどまらない。この国が歩んでいる進路を暗示している
▼ナチス幹部のゲーリングはこう言った。「国民を戦争に参加させるのは簡単だ。国民に他国から攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張すればいい」