<金口木舌>家庭教育支援法案


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 認可保育園の入所通知が届く時期が来た。“保活”をしても保育園に入れなかった人もいるだろう。県外ではベビーシッター会社が、自治体の不承諾通知を1万円で買い取り、シッター代として割り引くサービスまで登場した

▼安倍晋三首相は、2017年度末までに待機児童をゼロにするとの目標を断念した。保育を希望する働く親の増加に、受け皿が足りない状況が続く
▼身近な待機児童問題を解決せずに、自民党は今国会で「家庭教育支援法案」の提出を目指している。一見、家庭のために何らかの支援をするかのように見えるが、家庭教育を「保護者の第一義的責任」とし「子に必要な生活習慣を身に付けさせる」など当たり前のことを明文化している
▼改めて法で定めるまでもないことを、なぜ規定するのか。住民に国や自治体の施策への協力を求めるが、その施策が何なのか分からない
▼国が家庭教育まで口出しする印象がどうも拭えない。識者の中には「従順で国に逆らわないような子どもを育てようとしている」と指摘する人もいる
▼国有地売却問題で揺れる「森友学園」が新設する小学校のホームページには「愛国心の醸成」「天皇国日本を再認識」などの言葉が並ぶ。学園との関係を否定した安倍首相だが、教育基本法を改正し愛国心教育を強化した首相である。思想的には近いのでは、と法案を見て思う。