<金口木舌>大人こそ勇気を


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 8月6日、被爆から72年の広島で行われた平和式典をテレビで見た。子ども代表が「平和の誓い」で「戦争を正しく学ぶことは必要です」と力強く呼び掛けた

▼頼もしく感じる一方、気になったこともあった。「広島の子どもの私たちが勇気を出し、心と心をつなぐ懸け橋を築いていきます」との言葉。幼い小学生が、「平和を築くために勇気が必要だ」と感じているのだろうか
▼正しいことを言うのは、時には勇気がいる。ただ現在、ヘイトスピーチがまん延し、沖縄の反基地運動をたたく勢力もある。ネット上で、人をののしる言葉が飛び交う。どこかぎすぎすした雰囲気が、子どもたちに伝わっているのかもしれない
▼12日、読谷村波平のチビチリガマが荒らされているのが見つかった。ガマ内部の遺品が割られ、遺骨や折り鶴が散らばっていた。チビチリガマは、1987年にも「平和の像」が右翼団体員に破壊された
▼今回、誰がどういう意図で荒らしたのかは分からない。しかし沖縄戦で住民が集団で死に追い込まれた壕は、遺族にとっての墓所だ。平和を祈る大切な場所での暴挙は、決して許される行為ではない
▼広島の小学生の平和の誓いは「一人一人の命の重みを知ること、互いを認め合うこと」を「あきらめず、粘り強く伝えていく」とうたった。大人こそ勇気を出して、平和をつないでいく時だ。