<金口木舌>平成の終わり


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 「平成最後の」という枕詞がちまたにあふれている。平成最後のクリスマスで華やかな空気に浸り、平成最後の紅白歌合戦を楽しみ、平成最後の大みそかを過ごした。年が明け、きょうは平成最後の元日

▼最後、最後と連呼したところで、何を終わりにしたいのやら。へそ曲がりの当方は、一人で小言をつぶやいている。そんな時、平成最後の誕生日を迎えた天皇陛下のあいさつを聞いた。憲法や沖縄に触れたことが印象に残る
▼昭和の終わりを予期しながら年を越した30年前を思い出す。平成の始まりは1月8日だった。自粛ムードの中、人々は昭和という時代と向き合った。戦争があった、経済成長もあった、と
▼改めて平成の30年と向き合う時である。憲法が揺らぐ今だから。昭和の遺産たる米軍基地に悩む沖縄から。この30年、国の為政者たちは、ついに沖縄の重荷を軽くする術を持ち得なかった。厳しく問われることとなろう
▼政府はいま、沖縄に刃を向けている。「琉球処分」の時代との相似形を見いだす県民もいよう。武力で琉球を併合した年から今年は140年の節目でもある。時代を見つめ直し、しっかり未来を描こう
▼はしゃぐことはない。悲観も楽観もしない。変えねばならぬこと、守らねばならぬことを見極め、「平成の終わり」を迎えよう。そのような年とするための一歩を元日に記しておく。