<金口木舌>「ひるぎ」に託す子の成長


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 初詣でにぎわう護佐(ごさ)喜宮(きみや)(名護市)に足を運んだ。進級進学の目標一文字一文字を絵馬に込める中高校生ら。夢の実現に向けた取り組みは大きな成長につながるだろう

▼子どもたちを地域で育むため、魅力ある学びやづくりの取り組みが名護市屋我地島でことしから本格化する。屋我地小学校60人、同中学校29人の市内最小校の挑戦だ
▼両校を統合した小中一貫教育校「屋我地ひるぎ学園」の2016年開校に向け、手始めに小規模特認校制度を導入する。特色ある教育を目指す学校を自治体で指定し、校区外から児童生徒を呼び込む。県内3校目の指定となる
▼学園は英語教育強化のほか、島全体が国の鳥獣保護区という自然環境を生かした授業も行う。市全域から児童生徒を2月に募集し、4月から就学、来春開校する。地域の機運も高まり、住民らで結成したチームが幼稚園などで学園の魅力をアピールする
▼地域の愛着は「ひるぎ」を冠した校名にも表れている。子どもをマングローブの木々に例え、地域資源の柱となる成長を託した
▼小中一貫教育は全国210市町村で、1130件ある。その約9割で学力向上のほか、不登校やいじめが急増する「中1ギャップ」の緩和などで成果があったとされている。教育的効果に加え、地域のよりどころの再生へ、小さな島の一歩が過疎地の「明日」を切り開いてほしい。