社会の一線で活躍する気鋭の人物、団体を顕彰する第45回琉球新報活動賞がきょう2団体、3氏に贈られる。賞の理念は「一隅を守り千里を照らす」である。今回は、地域に根差しながら未来に種をまき、世界へ視野を広げる活動に光が当たった。受賞者・団体の志と情熱に学びたい。
一般社団法人「沖縄県女性の翼」は、あらゆる分野で女性リーダーの養成に取り組んできた。海外研修は県の補助が打ち切られた2006年以後も自主事業として継続。女性の視野を広げる役割を果たしてきた。19年に法人化し、20年にDV被害者や母子家庭を支援する基金を始めた。会長の奥村啓子さんは「みんなが自分の力を発揮できる世界を目指している」と述べる。
これは、NPO法人「地域サポートわかさ」の「誰一人取り残さない地域社会の実現」を目指す実践にも通じる。地域サポートわかさの、公民館を基礎にさまざまな団体と協働して住民自治を後押しする活動は、全国的に評価されている。コロナ禍では地域に住む外国人の支援も行うなど、経済状況や国籍にとらわれず手を差し伸べることを重視する。理事長の上原廣保さんは「多くの人に支えられてここまで来た。皆で力を合わせ、賞に恥じないよう頑張っていきたい」と語っている。
「ロッキーチャレンジ賞」主宰の仲村巌さんは、自身の退職金を基金にして賞を創設し、これまで13人に贈られた。一昨年はカンボジアで小児がん治療に取り組む嘉数真理子さん、昨年は「上間沖縄てんぷら店」を再建し新たなチャレンジを続ける上間喜壽(よしかず)さんが受賞した。「外界志向」「志」「挑戦」を理念とした同賞は、沖縄の若い世代へのエールになっている。
「やっぱりステーキ」などを全国展開するディーズプランニング代表の義元大蔵さんは、沖縄を拠点に世界にも飛び出そうとしている。3月のネパールに続いて米国、カナダにも出店を計画している。沖縄ブランドを前面に掲げ、ポテト専門店など新事業にも挑んでおり、全国的にも注目される経営者だ。「沖縄の若い人に夢を持ってほしい」という義元さんの後を追う若者が現れてほしい。
文化・芸術活動の分野で受賞する大城貞俊さんは、作家として旺盛な執筆活動を続ける傍ら、沖縄文学の伝道師の役割も果たしてきた。県外はもとより韓国、中国などのシンポジウムで沖縄文学の魅力を発信する機会も多い。小説や戯曲で受賞を重ね、山之口貘賞詩人であり評論の著作もある。教員として高校や大学での教育実践も豊富だ。琉球新報短編小説賞など県内の文学賞の選考委員を多く務めていることも特筆できる。これからも、沖縄文学の裾野を広げる活動に期待したい。
受賞者の貢献に感謝し、活躍をたたえたい。そして、引き続き沖縄の未来を切り開く人材を導いてほしい。