<南風>挑戦はこれからも続く


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 南風の掲載も最終回となった。半年間たくさんの皆さんに読んでいただいたことに感謝でいっぱいだ。今回のご縁は、自分の人生を振り返るきっかけとなった貴重な経験でもあった。

 〈初心を忘れない〉人生の中でたくさんの人との出会いと経験が今の自分の道を作ってくれたことをあらためて思うことができた。まさに〈対面同席五百生〉である。そして恩返しとして、たくさんの人に喜んでもらえる活動をこれからも続けていこうと思う。
 年を重ねると思考が保守的になると言われている。「現状維持でいい」「新しいことはやりたくない」。それは前頭葉といわれる脳の部分の老化の症状とも言われる。前頭葉は感動したり、想像したり、好奇心や新しいことへの挑戦等を司(つかさど)っている脳。年を重ねても常にわくわく夢に向かって挑戦していく姿勢こそ、前頭葉を刺激する。健康で若々しくいられる秘訣(ひけつ)だと思う。
 「面白きことなき世を面白く」と高杉晋作さんも言ったように自分の人生の演出家となって面白く創(つく)っていこう。夢は必ず達成できるとは言えない。しかし、夢に対し純粋に向き合って重ねてきたその時間は決して無駄にはならない。そこからまた新しい道が拓(ひら)けてくるし、人生のあらゆる局面で生かされてくるだろう。
 今年、オーストラリアで世界マスターズ陸上が催される。100メートル決勝のスタートラインに立つ自分を毎日想像している。その舞台でメダルを取る!ことが夢である。〈時間は待ってはくれない〉世界大会もいずれ過去になる。振り返った時に挑戦して良かったなと心から思えるだろう。運動会の代役から始まった陸上人生。普通の40代より若干、足が速いおっさんの挑戦はこれからも続く。メダルを取ったら、自分の脚に最高の祝福のキスをしよう。あの日、初めて100メートルで優勝した時のように。
(譜久里武、アスリート工房代表)