安慶田光男前副知事が教員採用試験への口利きや県教育庁幹部人事へ介入した問題について、平敷昭人県教育長が24日会見し、諸見里明前教育長が22日に出した、口利きや人事介入があったとする文書を公表した。文書を受けた23日の当時の県教育庁幹部の調査で、事実関係を認める複数の証言があったことから「県教育委員会として働き掛けがあったと考えざるを得ない」と結論付けた。翁長雄志知事も24日に会見し「安慶田前副知事に問い直したい。改めて調査に協力してもらうよう呼び掛けたい」と安慶田氏から事情聴取する考えを示した。
県教育庁は18、19の両日の調査を受け20日に「働き掛けの事実はない」としており、安慶田前副知事も疑惑を否定する根拠の一つとしていた。県教育庁が一転して口利きと介入を認めたことで、安慶田氏の説明責任が改めて問われそうだ。
提出された文書は諸見里前教育長の署名、捺印がある。2015年8月ごろの採用への口利きや、15年1月と16年1月の幹部人事への介入について、自身が副知事室に呼ばれ依頼を受けたことや、受験者のメモを渡されたことなどの詳細を記している。また異動を断った際、「激しく恫喝(どうかつ)された」とも記す。公表の理由では、教育の中立性確保や道義的責任などのほか「副知事の『絶対否定』に違和感を覚えた」などと説明している。
前回調査と結論が異なることに、会見で平敷教育長は「不十分な調査との批判は受け止める」としたが、「報道の確認をして時間的な制約がある中で全員が否定したので判断した。間違いというのはないと思う」との認識を示した。事実関係を隠蔽(いんぺい)したのではないかとの指摘に、與那嶺善道教育指導統括監は「誘導や隠蔽はない」と強調した。
平敷教育長は、不当な働き掛けを受けた場合の取り扱いを定める要綱を整備する方針。平敷教育長らによると、前教育長から22日午後に文書が届き、同日夕に翁長雄志知事に概要を報告した。