辺野古本体工事、けさ着手 防衛局が届け出 知事「甚だ遺憾」


この記事を書いた人 志良堂 仁
県環境政策課の金城賢副参事(右)に本体工事の着手届出を手渡す沖縄防衛局調達部の福島邦彦次長=28日午前11時47分、県庁

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設をめぐり、沖縄防衛局は29日朝、辺野古沿岸部での埋め立て本体工事を始める。国土交通相が28日付で翁長雄志知事による埋め立て承認の取り消しの効力を止める「執行停止」を行ったことを受け、防衛局は28日午前、工事着手届を県に提出した。県や地元名護市が反対する中での本体工事着手で、移設問題は重大局面を迎える。着手届の提出に翁長知事は「甚だ遺憾だ。今後も辺野古に新基地を造らせない公約の実現に全力で取り組む」とする談話を発表した。

 本体工事は作業の拠点となるヤードや仮設道路の整備など陸上作業から始める。その後、海上の護岸工事に移る段取り。中断していた海底ボーリング(掘削)調査も、29日にも再開する。
 一方、埋め立て承認取り消しを国交相が執行停止したことに対し、県は週明けにも総務省が所管する国・地方係争処理委員会に審査を申し出る。
 国交相は翁長知事に代わって埋め立て承認の取り消しを取り消す「代執行」の手続きも27日に始めており、県と政府の争いは最終的に法廷闘争となる見通し。
 防衛局が提出した着手届によると、埋め立て本体工事の着手日は29日。工期はは5年間。埋め立て面積は約160ヘクタール(普天間飛行場代替施設本体150ヘクタール、護岸5ヘクタール、作業ヤード5ヘクタール)。
 本体工事をめぐっては、県は前知事による埋め立て承認の「留意事項」で、防衛局が実施設計や環境対策に関する県との「事前協議」を工事前に行うよう定めていた。事前協議は今月13日に翁長知事が埋め立て承認を取り消したことを受け、関連手続きとして中断していた。
 承認取り消しの執行停止を受け、県は同日、防衛局に事前協議の再開を申し出た。一方、防衛局側は同日、「県が承認取り消しで協議を行えないと通知し、これにより協議は終了した」との認識を伝え、工事を始めると通達した。