米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しに対する国土交通相による執行停止について、県は2日、総務省が所管する第三者機関の国地方係争処理委員会に不服審査を申し出た。翁長知事は同日午後4時半、県庁で記者会見を開き「国交相が(政府の)辺野古移設の方針に反する判断を下すことは不可能だ。今回の審査請求には判断権者の公正・中立という行政不服審査制度の前提が欠落している」と批判した。申し出書で「国交相は執行停止決定の取り消しをすべきだ」などと主張している。一方、係争処理委や代執行訴訟で県の主張が認められなかった場合、承認撤回を検討していることも県弁護団が同日、明らかにした。
翁長知事は「国は米軍基地の建設を目的に、『固有の資格』で、私人には行い得ない承認を受けた。本件執行停止で、沖縄防衛局長を私人と同様の立場にあると認めたのは明らかに誤っている」と沖縄防衛局の審査請求の適格性を疑問視し、執行停止は違法な決定だと主張した。
係争処理委の審査結果は申し出から90日以内に出る。県側の主張を認めれば、一時停止されている承認取り消しの効力が復活する。国側の主張を認めれば審査は終結する。会見に同席した県法律顧問の竹下勇夫弁護士は承認撤回の可能性を問われ「係争処理委や代執行訴訟の判断がどの時点でどういうふうに出てくるかも含め、そのアドバイスをしていきたい。最後は知事が判断する」と述べた。
一方、沖縄防衛局が埋め立て承認時の留意事項として付けられた事前協議を打ち切って着工したことについても、県は2日、防衛局に対し、工事を中止し、事前協議を再開するよう求める通知文書を出した。県は留意事項違反の状態が続けば、承認撤回の理由に該当するとみている。