米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設をめぐり国土交通相が提起した代執行訴訟で、県は27日、福岡高裁那覇支部に国の訴状に対する答弁書(48ページ)と第1準備書面(464ページ)を提出した。準備書面で県側は、県民の同意を得ない新基地建設は、憲法が保障する「地方自治の本旨を侵害し、許されない」として「憲法違反だ」と指摘した。
答弁書と準備書面で、翁長雄志知事による埋め立て承認の取り消しは正当だとあらためて主張した。その上で国による代執行手続きは他に解決策がない場合に認められるとし、政府が知事の承認取り消しに対して行政不服審査法に基づく執行停止や裁決の手続きを並行して行っている点を指摘し、代執行訴訟の提起は「法の乱用」だとして、裁判所に却下を求めた。
政府が先に高裁に提出した訴状で、外交・防衛に関する事項は首相が判断すべきものであり、埋め立て承認の判断要素からは除外されると主張したのに対し、答弁書は「公有水面埋立法は、国防に関する事業についても除外規定を設けていない」と指摘した。そのため「異なる扱いをする根拠はない」として、知事に承認取り消しの裁量が委ねられるものだとした。
承認取り消しの判断材料となる「公益」について、政府が主張する国防も該当すると認めた一方で、辺野古新基地建設は周辺の自然環境に重大な影響を与え、また「県民の過重な基地負担を固定化させる」ために公益に反するとし、承認取り消しは正当だとした。
第1準備書は別添資料として約150枚にわたり沖縄の過重な基地負担の歴史も取り上げ、沖縄の過重な基地負担継続は憲法が定める法の下の平等にも反すると指摘した。
新基地建設は生活環境や自然環境に重大な影響を与えるが、その評価が適切になされず、またその対策も十分でないとして、前知事の埋め立て承認には瑕疵(かし)があったとし、取り消しに至った理由を各項目にわたり説明した。