キャンプ・キンザー汚染70年代から 田代教授「DDT残存」指摘


この記事を書いた人 志良堂 仁

 【浦添】浦添市の米軍牧港補給地区(キャンプ・キンザー)周辺でハブからポリ塩化ビフェニール(PCB)を検出した名桜大学の田代豊教授(環境化学)が30日、市の底質調査でもPCBや農薬のDDT類が検出されたことを受け、現在も基地内に残留し漏出し続けている可能性が高いとの見解を示した。田代氏は市の調査方法にも助言した。

 田代氏は、市と1976年の米軍、77年の県公害衛生研究所(当時)の三つの底質調査を分析した。キンザー沿岸の数値に着目し、70年代に検出された数値よりはるかに低いが、今回の結果と70年代に検出されたDDT類の構成が類似しているとし「基地内にDDTそのものが残っており、今も漏出を続けている可能性がある」と指摘した。
 PCBについては今回最も濃度の高かったキンザー沿岸の地点が70年代の調査で最も高い地点に近く、汚染分布は変わらないことが判明した。田代氏は「基地内の汚染の一部がいまだに残留し今回検出されたのだろう」と話した。
 沖縄・生物多様性市民ネットワークの河村雅美共同代表は「今回専門家の田代さんが調査設計に加わったことで、基地内に立ち入らなくても過去の文書などを分析し、詳しい状況が判明したことは重要だ」と強調した。