脂肪燃焼、遺伝子が邪魔 OIST山本教授ら 新薬開発に期待


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沖縄科学技術大学院大学の山本雅教授(左)、高橋明格研究員=18日、県庁

 沖縄科学技術大学院大学(=OIST、恩納村)の細胞シグナルユニットの山本雅(ただし)教授(68)と高橋明格(あきのり)研究員(31)らが18日、マウスの代謝を下げて脂肪燃焼を妨げ、肥満を進める特定の遺伝子の仕組み(メカニズム)を解明したと発表した。脂肪蓄積の仕組みが解明されたことで、ダイエット薬など新薬の開発が期待される。

脂肪燃焼を妨げる遺伝子の仕組み

 これまでの研究では、脂肪燃焼効果を持つUcp1(ユーシーピーワン)遺伝子があり、肥満が進むと同遺伝子が減少することは分かっていた。ただ、どのような仕組みでUcp1が減少するかは分かっておらず、山本教授らが減少の仕組みを解明した。
 研究では、マウスの脂肪組織を分析したところ、肥満体のマウスにはCnot7(シーノットセブン)遺伝子とTob(トブ)遺伝子という二つの遺伝子があり、これらの遺伝子が、Ucp1遺伝子の情報が転写されたUcp1のmRNA(メッセンジャーRNA=リボ核酸)を分解していることを発見した。Ucp1のmRNAが分解されると、脂肪燃焼の働きを持つUcp1タンパク質の発生が抑えられ、肥満が進む。今回、遺伝情報を転写したmRNAに着目したことも珍しいという。
 高橋研究員は「沖縄は肥満率の高い県で、対策は重要だ。現在ダイエット法は食事制限と運動に限られているが、脂肪燃焼を妨げる仕組みが分かったことで、この仕組みを阻害する新薬の開発などにつながればうれしい」と話した。