英字紙ジャパン・タイムズは17日、米空軍嘉手納基地が2012年段階で所有する約500の変圧器のうち、有害物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)汚染に関する調査を半数以下しか実施していなかったと伝えた。英国人ジャーナリストのジョン・ミッチェル氏が米軍への情報公開で入手した資料に基づき報じた。記事によると11年にはPCBに汚染された変圧器を安全に保管する場所が嘉手納基地になく、有害性を示すラベルも貼られていなかったとして、専門調査官が「重大な欠陥がある」と同基地のPCB取り扱い方針を批判していたことも分かった。
PCBは発がん性があるとして日本では1975年に製造、輸入が原則禁止されている。
嘉手納基地では60~70年代にPCB入り変圧器油を基地内のため池に大量投棄していた問題が99年に発覚した。ミッチェル氏は琉球新報に「基地汚染は過去の問題ではなく、今日の問題だ。軍人、基地従業員、基地周辺住民に分け隔てなく影響する」と指摘した。
記事によると、90年代に嘉手納基地が実施した調査では、PCB汚染レベルが米環境保護庁(EPA)基準値の1700倍に上る濃度に達した機械室もあった。14年8月には、2週間で3度の変圧器油漏れが発生し、緊急処置チームがいらだちを示す内容の電子メールもあったという。
記事はまた、米軍基地跡地の沖縄市のサッカー場からダイオキシン類を含むドラム缶100本以上が発見された問題で、このサッカー場に隣接する基地内の小中学校に93~03年に通った児童生徒が、がんや免疫疾患、呼吸疾患、神経障害などを発症したと保護者25人以上が訴えていると報じている。米軍はこれらの病気と土壌汚染問題の関連を調査したことはないという。
ミッチェル氏は「米本国ならばEPAが調査に乗り出すようなことでも、日本では日米地位協定があり日本側が汚染の実態を把握できない」と指摘した。