読谷飛行場跡にダイオキシン 原因不明、2年放置 基準の8倍


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 【読谷】読谷村の米軍読谷補助飛行場跡地で、2014年に基準値の8倍以上のダイオキシン類や鉛が検出されたにもかかわらず、2年以上にわたり処理されず、汚染土壌や廃棄物が埋め戻された状態が続いていることが24日までに分かった。有毒物質が検出された一帯は返還前からフェンスがなく、自由に出入りできたため汚染原因が米軍側にあるのかどうかは不明。県、読谷村、沖縄総合事務局、沖縄防衛局の間で原状回復の責任の所在が曖昧になっている。汚染原因がはっきりしない場合どこが処理するのか明確になっておらず、基地返還後の浄化責任について新たな課題が浮かび上がっている。

「不法投棄監視中」などと書かれた看板の立つ、汚染された土壌や投棄物が見つかった場所=22日午後、読谷村

 環境問題の調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)」の河村雅美代表の県への情報公開請求により、明らかになった。最大で、土壌から毒性等量(TEQ)1グラム当たり8300ピコグラムのダイオキシン類や、基準値の21倍以上となる1キログラム当たり3200ミリグラムの鉛が検出されていた。
 ダイオキシン類などが見つかった場所は、県営畑地帯総合整備事業として県が08年から整備している81・3ヘクタールの農地のうち、西側の423平方メートルの範囲。
 整備中の13年9月に鉄くずやタイヤなどの廃棄物が見つかり14年3月に県が土壌を調査。4カ所全ての地点で基準値以上の有害物質が検出された。県は周辺の追加調査をしておらず、汚染を検出した場所以外で土地改良事業やかんがい排水事業などが進んでいる。
 検出されたTEQ1グラム当たりのダイオキシン類は、8300、2400、6600、1100ピコグラムで、1000ピコグラム以下とされる基準値を全地点で上回った。
 また検出された鉛は1キロ当たり3200、1300、2000、460ミリグラム。基準値150ミリグラム以下をいずれも大幅に超えている。
 読谷村の石嶺伝実村長は「関係機関と善処策を相談している。元は米軍基地だったので国の責任で原状回復してほしい」と主張している。24日時点で、沖縄防衛局からの琉球新報の取材に対する回答はない。
 河村代表は「沖縄市のサッカー場のダイオキシン問題で全面調査が開始された後なのに、なぜ県は追加調査をしなかったのか。すぐに一般市民向けに情報を公開しなかったことも問題だ」と指摘した。(清水柚里)