南城市長、市民にSNSで圧力 「署名活動理解できない」 保育所民営化


この記事を書いた人 志良堂 仁

 南城市の公立保育所存続を求めてインターネット上で署名を呼び掛けた市民の男性に対し、民営化への強固な姿勢を崩さない古謝景春市長がSNS(会員制交流サイト)で「圧力で対抗する署名活動は理解できない」などと署名活動を否定する複数のメッセージを送っていたことが分かった。男性は「市民と市長では立場が違う。直接メッセージを送られるのは怖いのでやめてほしいと再三伝えたがやめてくれなかった。思い出すだけで今も手が震える」と訴えた。

 男性は公立保育所の存続を求める陳情書を市議会に提出しており、20日に開かれた市議会総務福祉委員会で陳情の経緯を説明した際に、市長からSNSで圧力を受けていたことを明らかにした。

 古謝市長は取材に対し「メッセージは対等な話し合いのつもり」とした上で「もし圧力を感じたのであれば謝りたい」と語った。

 男性によると、ネット署名を始めた直後の4月上旬、古謝市長は第三者や自身のフェイスブックに男性の勤務先や業種を書き込んだ。男性は「職業は関係なく一市民として活動している」として削除を求めた。古謝市長は削除に応じたがその後、男性に直接メッセージを送り上司の氏名を挙げて親しい関係であることをほのめかした。

 さらに署名の呼び掛け文や関連する新聞記事について古謝市長は男性に複数のメッセージを送り続けた。男性が「心情的にしんどい」と送信しないよう伝えても「貴方(あなた)は市民を巻き込んで圧力で訴える手段を選択した」「あなたが焚(た)き付けて異常な行動をしている」などと伝えた。やりとりは約1カ月に及んだ。

 委員会で男性は「南城市のよりよい保育を求める気持ちは同じで対立したいわけではない。議論の土台となる資料の提出を何度も求めたが示されず、市民の意見を伝えたいと署名や陳情をした」と経緯を説明した。