戦争体験者ら討論 持続的平和考える ユネスコ大会in沖縄


社会
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パネルディスカッション「語り継ぐ平和」について議論するパネリストら=25日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター

 「持続可能な平和のとりでを築こう!~命どぅ宝」をテーマに、第72回日本ユネスコ運動全国大会in沖縄(主催・日本ユネスコ協会連盟、県ユネスコ協会)が25日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター劇場棟で開幕した。県内での全国大会開催は1982年以来34年ぶり。初日は特別講演と沖縄戦体験者によるパネルディスカッションがあり、全国各地から参加したユネスコ協会の会員らが平和の尊さや持続的な取り組みについて考えた。大会は26日まで。

 特別講演には、東京大学大学院総合文化研究科教授の高橋哲哉氏が登壇。高橋氏は、在日米軍基地が集中する沖縄の現状を「本土による沖縄差別と言わざるを得ない」と指摘。「日米安保体制は本土の有権者の圧倒的多数の支持によって支えられている。もし本土の有権者が安保体制の維持を望むなら、その政治的選択に伴う責任として、米軍基地に伴う負担とリスクは本土で負わなければならない」と提起した。

 パネルディスカッションでは、元渡嘉敷村教育委員長の吉川嘉勝氏、元糸満市教育長の大城藤六氏がパネリストを務めた。渡嘉敷村で発生した「集団自決」(強制集団死)から生き残った吉川氏は、当時の状況を語り「島に軍隊が来たから『集団自決』が起きた。日本軍のいない所では起こっていない」と指摘。「事実を通してこれからの日本をどう構築するのかを考えてほしい」と訴えた。

 日本軍による壕追い出しを経験した大城さんは「沖縄戦からの教訓は、日本の兵隊は住民を守らなかったということだ」と指摘した。

 愛媛県から参加した会社員の小崎好美さん(34)は「沖縄戦の体験者から直接、悲惨な戦争の話を聞くことが大切だということを痛感した。戦争を風化させないためには戦争遺跡の保存や体験者の証言を伝え続けることが大事だ」と話した。

英文へ→Panelists including people who experienced the war share ideas at the UNESCO associations’ national convention