【東京】防衛省は、米軍属女性暴行殺人事件を受けた防犯パトロール要員として沖縄に派遣された職員を、7月中旬から米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設、米軍北部訓練場の一部返還に伴うヘリパッド建設などの「警備要員」に充てる計画を進めていることが15日、分かった。複数の関係者が明らかにした。辺野古や高江の基地建設に反対する市民の抗議を「妨害活動」だとして、同省や地方防衛局の職員約60人を警備要員に充当する。米軍属事件を受けた「防犯」の名目でありながら、市民活動を抑える業務に従事させることになり、派遣の正当性が疑問視されそうだ。
派遣職員は同省から約10人と全国7地方防衛局から約50人。米軍属事件を受け、政府が再発防止策として創設した「沖縄・地域安全パトロール隊」として毎日夜間の巡回に従事するため、「男性職員」に限定されている。7月13日から第1陣が既に沖縄入りし、2週間のローテーションで12月末まで予定されている。
派遣職員はパトロール隊の業務と同時に、米軍基地建設に反対する市民の抗議活動を警備するため、建設現場にも投入される。
政府はヘリパッド建設を22日にも再開し、年内に完工する予定で、派遣期間とも重なる。
ただ現場の状況によって派遣の規模の拡大や縮小、期間が延長される可能性もあるという。
防衛省関係者は米軍基地建設の現場では市民による抗議活動が続いているため「多くの人員が必要になる。過去にも派遣されているはずだ」などと述べ、反対する市民の「警備」が必要との認識を示した。
またパトロールに当たる職員が「防衛局名」が記載された作業服を着ているため「現場で目立つ」との声があるという。
(仲村良太)