【東京】内閣府は25日、2017年度の沖縄関係予算の概算要求額を、16年度当初予算比で140億円(4・2%)減の3210億円とする方針を決めた。同日開かれた自民党内閣部会で示され、承認された。沖縄振興一括交付金が16年度比275億円(17・0%)減額となったほか、那覇空港滑走路増設事業費330億円、沖縄科学技術大学院大学(OIST)への補助金167億円も沖縄関係予算として一括で計上した。一方、沖縄関係税制の拡充、延長に関しては、9制度ともに延長や拡充を求め、ほぼ県側の要望を受け入れる形となった。
那覇空港滑走路増設費とOIST予算を除いた額は約2710億円で、国が県に毎年3千億円台の沖縄関係予算の確保を約束した14年度以降の予算では最も低くなった。
米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題で県と政府が対立する中、国側からは「基地と沖縄振興のリンク論」を容認する発言も出ており、辺野古移設に対する翁長雄志知事の対応次第では、年末に決定する次年度予算案でさらに減額される可能性もある。
沖縄振興一括交付金は1338億円。内訳は、沖縄振興特別推進交付金(ソフト交付金)が138億円減の668億円、沖縄振興公共投資交付金(ハード交付金)が137億円減の670億円。15年度までの一括交付金で執行率の低さが減額に響いた形となった。一方、那覇空港滑走路増設を含む国直轄事業や地方公共団体への補助事業などの「公共事業関係費等」は101億円増の1524億円となった。
新規事業は、企業誘致や国際物流拠点を活用したものづくり産業の創出や、OISTと企業の相互連携を図る「沖縄産業イノベーション創出事業」として10億円、離島市町村の先導的な事業を支援する「沖縄離島活性化推進事業」に10億円が計上された。
継続事業のうち「沖縄子供の貧困緊急対策事業」は1割増の11億円となった。西普天間住宅地区(宜野湾市)への「拠点返還地跡地利用推進交付金」を含む米軍跡地利用関係は12億5千万円、北部振興事業費は25億7千万円、鉄軌道導入に向けた調査は1億5千万円で前年度と同額となった。米軍属女性暴行殺人事件を受けて創設された「沖縄・地域安全パトロール隊」については8億7千万円が計上された。