「生の芸術」楽しんで 大平特支卒3人、母校に寄贈


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母校の大平特別支援学校に作品を寄贈した(左から)喜舎場盛也さん、狩俣明宏さん、上里浩也さん。後列は在校生=12日、浦添市の同校

 「生(き)の芸術」(アールブリュット)の作家として世界的に注目を集める喜舎場盛也さん(37)=那覇市、狩俣明宏さん(36)=浦添市、上里浩也さん(34)=那覇市=がそれぞれの代表作を母校の大平特別支援学校に12日、寄贈した。3人が所属する若竹福祉会の村田涼子さんは「こだわりを絵や字で表現することで強い力となり、見る人の心を揺さぶる」と語り、後輩たちの活躍を願った。

 3人の作品はフランス・パリのアール・ブリュット・ジャポネ展(2010年)をはじめ国内外で展示されている。喜舎場さんの作品は日本美術全集(小学館)にも掲載されており、美術品としての評価は高い。

 喜舎場さんの寄贈作品は小さな漢字を紙一面に整然と書いた「漢字シリーズ」。オリジナルは県立博物館・美術館に収蔵されており、複製が手渡された。狩俣さんは正面から見た路線バスを運転手の表情まで克明に描き、行き先や経路、運転手名も記した「路線バス」、上里さんは紙に描いた小さな部品をセロテープで貼り合わせて作った「飛行機のパーツ」を贈った。

 言葉少ない作家らが創り上げた精巧で迫力ある作品に、教員らは顔を近づけて感嘆の声を上げた。3作品は約60センチ四方の額に入れ、校舎の玄関に展示される。

 比嘉朝子校長は「先輩の作品を見て、自分もできるかなと憧れが目標に変わってほしい」と話し、寄贈に感謝した。