辺野古新基地建設への影響 国は振興策推進へ


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米軍キャンプ・シュワブ沿岸域の埋め立て区域「2-1」部分=8月17日午前、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸(小型無人機で撮影)

 名護市議選で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を事実上容認する渡具知武豊市長を支持する与党が多数となった。野党多数の構図が崩れたことで、政府は、基地建設に反対しない代わりに振興策を手厚くする「アメとムチ」の施策を一層進めるとみられる。一方、当選した与党のおよそ半数は新基地建設に対する姿勢を明らかにしておらず、公明会派を含む反対派は15人と多い。工事を強行する政府の姿勢に批判的な判断が働いたといえる。

 政府は市議選の結果にかかわらず、移設作業を進める方針だ。反対派多数の中で政府が国策を強行している印象は否めず、県民からの反発が一層強まりそうだ。

 政府は、移設に反対しない渡具知市長が誕生すると、再編交付金を再開し、沖縄関係予算の2019年度概算要求では北部振興予算を増額した。沖縄防衛局は今後、新基地建設に向けて市の許可が必要になる美謝川の水路切り替えなど2件の工事について、渡具知市長との協議再開も検討している。渡具知市長が協議に応じ、許可を決めれば野党は厳しく追及する構えだ。

 今年2月に初当選した渡具知市長は新基地建設について賛否を示さず選挙戦に臨んだが、菅義偉官房長官は「選挙は結果が全てだ。相手候補が必死に埋め立て阻止を訴えたのではないか」と述べた。政府は市長選の時と同様の言い回しで賛成の民意が示されたと印象付ける可能性がある。
 (明真南斗)