辺野古K8護岸着工 識者談話・大久保奈弥氏 サンゴに致命的影響 環境監視委の科学者は公の場で説明を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
大久保奈弥氏 東京経済大准教授

 沖縄防衛局が環境監視等委員会に示したシミュレーション結果からも分かる通り、大浦湾の河口部分にK8護岸を造ると、護岸の北側で海流の速度が低下する。護岸の北側に移植対象とされる小型サンゴがある。小型サンゴは大型サンゴよりも強い水流を必要とするので、徐々に死んでしまうだろう。

 防衛局は汚濁防止膜を用いてサンゴへの影響をなくすとしているが、これまでの工事で汚濁防止膜から汚濁水が漏れているのが確認されている。汚濁水に含まれる粒子や有害物質が流れてサンゴを覆えば、致命的な影響を受ける。

 防衛省は市民団体との交渉時、現場でのサンゴをめぐる問題は全て環境監視等委員会に報告していると述べた。安倍首相は1日に国会答弁で、環境監視等委員会がサンゴの保護基準を決めていると強調した。しかし、環境監視等委員会のこれまでの判断は大方間違っており、どのような科学的知見に基づいて工事を承認しているのかを説明していない。

 これでは委員が科学者としての説明能力に自信がないために公の場に出られないのだと判断されても仕方がない。これだけの環境破壊にお墨付きを与えるのだから、委員会の科学者は公の場で各自の主張の根拠を述べる必要がある。
 (東京経済大准教授・サンゴの生物学)