犬猫殺処分 沖縄4位 県愛護センター「最期まで飼育を」


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 9月20日から26日は、動物愛護週間。県自然保護課によると、2011年度に飼育放棄や迷い犬・猫として県動物愛護管理センターに収容された犬猫の数は7243匹(犬3282、猫3961)だった。そのうち飼い主や引き取り手が見つからず、殺処分に追い込まれた数は約86%の6262匹(犬2430、猫3832)に上る。

年々改善されているものの、沖縄での殺処分数は人口比で全国4位と、依然として悪い状況が続く。
 このような現状に歯止めをかけようと、改正された「動物愛護管理法」が1日に施行された。飼い主や動物取扱業者には動物が死ぬまで適切に飼育する責務があることが明記され、行政機関は飼育責務に反する理由による動物の引き取りを拒否できるようになった。
 動物の保護や飼い主などへの啓発を行う県動物愛護管理センター(南城市、新里武則所長)では、毎週水曜日に犬・猫の譲渡会が行われている。11日は1頭の犬に新たな飼い主が見つかった。犬猫の世話を担当するセンターの村田隆次郎さん(50)は「良かった!」と声を上げ「毎回とてもうれしい」と喜んだ。
 飼い主となった玉那覇由美子さん(40代)は「家族全員犬が欲しいと思っていた」と話し、娘の未菜(みな)さん(18)は「一緒に走り回りたい」と笑顔を見せた。
 しかし、今回のように譲渡に至る例は少ない。2011年度は収容された犬・猫のうち約7%にあたる518件だった。
 迷い犬や猫を保護した後、元の飼い主が現れるまでの収容期間5日間が過ぎると、二酸化炭素による殺処分となる。飼い主から引き取った場合(所有権放棄)は原則として翌日に殺処分される。
 動物虐待防止の啓発活動などを行うNPO法人「ワン’sパートナーの会」理事長の比嘉秀夫さんは「沖縄には『命どぅ宝』などの言葉があるにも関わらず、殺処分率が非常に高い」と指摘する。
 県自然保護課の大城哲也主任技師は「犬や猫は10年も15年も生き、きちんと飼えば年間30万円の費用がかかる。先を見越して飼ってほしい」と話した。
(長浜良起)

<用語>改正動物愛護管理法
 飼い主は動物が命を終えるまで適切に飼育することが義務付けられ、場合により行政は引き取りを拒否できる。動物販売業者は購入者へ事前の対面説明をする必要がある。さらに、動物のみだりな殺傷は2年以下の懲役または200万円以下の罰金など、罰則が強化された。

譲渡会で出会った、新たな飼い主として犬と触れ合う玉那覇未菜さん(右)と母の由美子さん=11日、南城市大里の県動物愛護管理センター
犬猫収容数と殺処分数の推移