<金口木舌>「獅子脅し」の由来


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 富士山の樹海を歩くと、赤茶色にむけた木肌に気付く。ガイドに聞くと鹿による食害だという。林野庁によると、野生鳥獣による森林被害で最も多いのが鹿による枝葉の食害や剝皮(はくひ)被害で、全体の4分の3を占める

▼かつては田畑を荒らす鳥獣を驚かせて追い払うため、かかしや鳴子(なるこ)といった「鹿威(ししおど)し」を見かけたが、現代ではあまり威力を持たなくなっているのか。一方でこちらの「獅子脅(ししおど)し」は、今シーズン、ナンバーワンの威力をみせた
▼プロ野球パ・リーグで2連覇を果たした西武。その勝利に導いた強力打線を辻発彦監督は、ライオンズの獅子にかけ「獅子脅し打線」と名付けた。その中核の一人が県出身の山川穂高だ
▼個人タイトルでは昨年に続き本塁打王に輝いた。2年連続で40本超えのタイトル獲得は、中村剛也(西武)以来で10年ぶりの快挙となる。もちろん県出身では初めてだ。恩師の盛根一美さんがたたえた「沖縄の宝」が実感をもって迫る
▼山川本人は、タイトル獲得に喜びを表しつつも「50本打つと開幕前から言っていたので正直悔しい気持ちもある」と語る。この悔しさはまた、来季へのばねになることだろう
▼県出身初のプロ野球選手安仁屋宗八さんは「沖縄の誇り。尊敬できる選手に育った」と高く評価していた。クライマックスシリーズでも「どすこい」ポーズを見せてくれることだろう。