<金口木舌>検診で家族を笑顔に


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 年に一度ほんの数十秒のことなのに、あの痛みを思うと憂鬱(ゆううつ)になる。乳がん検診のマンモグラフィーを受診したことのある女性は、同じ気持ちだろう

▼国立がん研究センターの統計では、女性の11人に1人が乳がんになり、66人に1人が死亡するリスクがある。一方で、早期発見できれば10年生存率は90%以上だ。県内では年間約千人の女性が乳がんの告知を受けているという。決して人ごとではない
▼先月、歌手の長山洋子さんや太田裕美さんが乳がんを公表した。上皇后美智子さまも早期の乳がんと診断され、摘出手術を終えたばかりだ
▼「乳がんで悲しむ人を一人でも減らしたい」と、1980年代にアメリカでピンクリボン運動が始まった。日本では2000年頃から広がり、毎年10月は「ピンクリボン月間」として乳がんの早期発見・治療を啓発する
▼知人は、育児に追われる40歳で乳がんを患った。専業主婦で未受診だった経験から、「イクコママの乳がん日記」と題した漫画で治療までの経緯を分かりやすくつづった。ピンクリボン月間のイベントで毎年パネル展示している
▼女性は育児や介護で家族を優先しがちだ。イクコママは「専業主婦は自分の誕生日を検診日にしてほしい」と訴える。いつも家族のために頑張っているからこそ、年に一度は検診を受けたい。家族の健康はみんなを笑顔にする。