<金口木舌>人にやさしく


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 使ったことはないが、口に触れる感触は優しいのではないか。木製のストローのことだ。1日、日本トランスオーシャン航空(JTA)が一部航路で機内提供のサービスを始めた

▼持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みの一環だ。本紙記事によると2020年から地元沖縄県の木材を使用する。地域の森林保全と持続的な林業の活性化にもつなげたい意向だ
▼コーヒーチェーン大手のスターバックスは20年までにプラスチック製の使い捨てストローの使用を全廃する。多くの企業がストローを使わずに飲めるカップや木製、紙製、金属製のストローなど対策を模索している
▼一方で考えなければいけないのは、プラスチック製こそ必要な人もいること。障がい者や高齢者だ。紙や金属製では口を切る恐れがあるという指摘や曲がるプラスチック製の方が重宝するという意見がある
▼自分専用を持ち運ぶ「マイストロー」も衛生面などから心配する声が上がる。一部はプラスチック製も残すなど柔軟な対応が必要だ。さまざまな立場の人がおり、考え方も複雑に絡み合う
▼難しいだろうが意見交換を重ね、環境にも配慮し、全ての人に優しい対策を見つけるのが重要だ。JTAの取り組みは環境保全を考えるきっかけになる。10月8日は「木」の日。木に関わるSDGsや自然保護の課題に思いをはせよう。