<金口木舌>あなたはビルの入口で感じる?感じない?

 言われるまで、その“音”に全く気付かなかった。都心の商業施設やオフィスビルの入り口に近づくと、同行者は不快感を訴えるが、当方は気にならない。どうも音波を発する装置があるらしい

▼「キーン」という高い音で、聞こえる人はイライラしたり、気分が悪くなったりするという。人によって違うが、若年層は聞こえるが中高年は聞きとれない人も多いそうだ。そう言われるとかすかに音がしないでもない
▼ネット上でも、商業施設の利用者から「あれは苦手」「耳がつぶれそう」と悲鳴が上がる一方、「全然感じなかった」との声も。以前は店の前にたむろする若者を排除するために使われた経緯もある
▼高周波数の音で、蚊の羽音のようなのでモスキート音といわれる。ビルの“音”は若者の排除ではなくネズミ対策だ。電線をかじってショートさせたり、衛生上の問題を引き起こしたりする
▼都心のネズミといえば、防潮扉に描かれた落書きが、世界的に有名な路上芸術家バンクシーの作品ではないか、と話題になった。こちらは大切に保護されて展示までされた
▼バンクシー氏の作品にはネズミがしばしば登場する。同じネズミでも扱いに随分と差がある。同氏の作品は常に社会の在り方を問い掛けてくる。ネズミも若者も排除するのではなく、なぜそうなったのか、不快な音波を感じるたびに考えてみる。