<金口木舌>ここに地終わり海始まる


社会
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 「1543(天文12)年9月、鉄砲伝来」。ポルトガル人が種子島に漂着し、新兵器の鉄砲を日本にもたらしたと、かつて日本史の授業で教わった

▼それ以降の戦の仕方にも大きな影響を与えた。他方でそれは西欧が初めて日本と接した瞬間とも記録される。長らく欧米では、この鉄砲伝来を1年前の42年とする説が一般的で、併記する教科書もある
▼日本側の歴史書と欧州側とで年数にずれがあるためらしい。スペイン人による記録では、ポルトガル人が42年に漂着したのは「レキオス(琉球)」の島と記されている。鉄砲伝来より先に琉球人と接触していたなら興味深い
▼香辛料などアジアの財を求めてポルトガルやスペインは新規航路開拓に乗り出した。ポルトガルが先行してマラッカを占領、東南アジアの植民地支配が始まる。中国と東南アジアや日本を結んだ琉球王朝の中継貿易も影響を受けていくことになる
▼今年は、ポルトガルの航海者マゼランがスペインの艦隊で世界一周に出港してから500年になる。ユーラシア大陸の西端、ロカ岬にある「ここに地終わり海始まる」の碑文は遠征者の心持ちと重なるのだろうか
▼歴史を見れば、ローマからポルトガルにスペイン、英国と世界の覇権は変遷してきた。アジアの覇権を巡り各国の思惑が交錯する中、大交易時代の記憶も胸に、沖縄ができる役割を考えてみる。